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『嫌われ松子の一生』みてきました。 [日本映画]

極彩色の転落人生。お姫様のような人生に憧れ、
でも、どうしてもうまくいかない松子の一生。「なんで~?」
画面はお花とか星とかキラキラしたもので彩られています。松子のために。
よくできています。
私にとっては、感動…とか好きとかいう感情とはちょっと違う感覚。

オープニング 、でかでかと starring MIKI NAKATANI の文字。
撮影中の監督と中谷美紀とのバトルが伝わってきているので、
この派手なクレジットを見て、よかったね~と思ってしまった私は
すでに術中にはまってるってことかな。

松子は、生きるエネルギーに満ちあふれている方ですね。
家を出て自転車を全速力でこいでいる、前を向いた松子は美しい。
人を殺して、窓から飛び降りるのに、途中で何かにつかまって宙ぶらりんになるだけ。
「それでも、私の身体は生きようとしていた」

男との関係が破綻し「これで人生終わったと思いました」
と言いながら、すぐに復活。次の男と明るく暮らす松子さん。
このセリフ、何回出てきたことか

DV男、ヒモ、ヤクザ、つきあう男があまりにも不幸人生としてベタで笑えるくらい。
その都度、相手の望む女になりきり、ひとりぼっちよりずっといいと言う。
愛してると言ってくれて、自分を必要としている男と一緒にいることが
好きなんですね。(だから利用されてばかり)
望まれるように演じ続ける。
トルコ嬢として認められるために、そこでもいろいろと(?)極めて
トップになってしまうんだから。
(トルコ嬢という言葉を聞いたのは久しぶり。いいのか?)

反省しないし、失敗から学んだりもしない。どう見ても松子はダメなやつ。
誰も、彼女をお姫様扱いしてくれない。最後は殺されてしまうし。
でも、本人にとってはどうなんだろう。
不幸と幸福がてんこ盛りのハイテンションな人生で、
それはそれでありかもしれない。
松子を神様みたいだと思ってくれている男がいるし、
親友はいつまでも松子を気に掛けている。

殺されるきっかけとなってしまった教育的指導の言葉。
親の望みに応えるためだけに中学教師になった、かつての松子からは
出てこない言葉です。
故郷の川に似ている荒川の近くに住み、そこで死んでいく。
ラスト、逆回転して見せていく松子の人生の果てにでてくる言葉は、
悲惨なだけの人生ではなかったと語っているようです。
(ここまでわかりやすくしなくてもいいのでは^^;)

「下妻物語」に引き続き、キャスティングが濃いです。
売れない小説家を演じる宮藤官九郎がよかった。凄みがありました。
松子に笑いかけて死んでいくシーン。
彼に嫉妬とコンプレックスを感じている劇団ひとりもよかった。
エリまでボタンをぴっちりと止めて、
なかのランニングが透けて見えるポロシャツを着ているのを見ると、
クドカン演じる破滅型の作家に対する屈折した気持ちがよくわかる。
憧れる気持ちはわかるけど、作家になるのは君にはムリかも、
と言いたくなってしまう。うまいです。

ソープのマネージャーを演じる方はスカパラのメンバーなんですか。
存在感ありましたね。
伊勢谷友介、声がGacktそっくり。

松子の親友めぐみを演じる黒沢あすか。かっこよすぎですわ!

ミュージカル仕立てにして、内容をコンパクトにまとめているのは
本当に上手いなと思いました。
よくできています。

でも、松子はもっとぶっ飛んでてパワフルでノーテンキな方がいいんじゃないかな。
中谷美紀は、ちょっときれいすぎるような気がする。
がんばってるのがわかるだけに、もどかしい。
ミスキャストとまでは言えないけれど。

いろいろなシーンで泣けてしまいました。
松子の家族の気持ちが透けてみえてくるシーンに胸を衝かれます。
一番身近で、一番複雑な、読みとりにくい感情。

中島哲也監督、中谷美紀には怒鳴ったそうですが
『下妻物語』のフカキョンには絶対に怒らなかったに違いない。
「怒ったら泣いて帰っちゃいそうだし、かわいいからゆるすだぜ、きっと」
なんて言う息子。私もそう思うな。

 
 


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KANAchanMaMa

“ミュージカル仕立て”は 違和感 なかったみたいですね。(^^♪
この作品に関するブログ記事も、いろいろ覗いてみたのですが、貴女の記事を
読んだら 俄然 観たくなってきました~♪
“撮影中の監督と中谷美紀とのバトル”…宣伝用の演出では ないのですか
ね~(・・? TBSの「王様のブランチ」ゲスト出演時等の様子は、まさに
“本物”感に満ち溢れて(!?)ましたけれど…。^^;
by KANAchanMaMa (2006-06-15 02:54) 

真紅

miyucoさん、こんにちは。TBさせていただきました。よろしくお願いします。
>感動…とか好きとかいう感情とはちょっと違う感覚
これ、同感です。私は涙も出ませんでした。でもいい映画だと思ったし、ここまで作り込んだ監督に脱帽という感じでした。
よろしければお暇な折にでも拙ブログに遊びにいらして下さい。お待ちしております。ではでは。。
by 真紅 (2006-06-15 11:53) 

miyuco

>KANAchanMaMaさん
ディズニーで『シカゴ』でした^^v
圧倒的でしたよ~。
映像の力を言葉で表現するのは私にはとてもムリなので
ご覧になってみていただきたいと思います。
アイコン、オスカルになってる♡
nice!とコメントありがとうございます♪
by miyuco (2006-06-15 12:06) 

miyuco

>真紅さん
さきほど、かいろさんのところにお邪魔して、真紅さんのところに行き、
帰ってきたところです(*≧∀≦*)ニアミスでした☆
絶不調のソネブロにTBとコメントありがとうございます♪
コメント残しにうかがいますね。
by miyuco (2006-06-15 12:10) 

かいろ

miyucoさん、こんにちは!TBさせていただきました、よろしくお願いします。
わたしの涙もろさは最近ますますひどくなっておりますもので、この映画は本当に呼吸困難になりました(泣いたからっていい映画だとは言えないと思うのですが、でもこれは良かったです)。ラストの‘あの歌’をいろいろな人が歌っているところは、大好きな「マグノリア」を思い出させられました。名場面だと思います。
そして、刑務所の中にあっても自分を鍛えていた?松子を見習って、ヒンズースクワットをしようかしらなどと一瞬考えてしまったわたしでした。それではこの辺で。またお邪魔させてください。
by かいろ (2006-06-15 23:28) 

miyuco

>かいろさん、こんちには。
「今日も松子から連絡なし」でボロボロでした(><。)。。
柄本明演じるお父さん、あの時代の風格がありましたね。
映画館で観てよかったと思える映画でした。
スクワット! 松子さん、鍛えてましたね~☆
コメントとTBありがとうございました♪
by miyuco (2006-06-16 12:40) 

スゥ。

今月の映画の日は『嫌われ松子の一生』を観てきました。

だめんずウォーカー松子の、撲られても「それでも独りよりマシ」って云う台詞に
“独りじゃない”ってゆーのは恋人といることだけじゃないのにと思ってました。
めぐみチャンといたって“独りじゃない”なのに、
家族と離れていたって“独りじゃない”なのに、彼女は気づかないままです。

もし男達のうちの誰の子でもいいから子供でも産んで育てていたら、
彼女の愛情は、与えるも受け取るも満たされたかもしれないけれど。

でも上の感想はきっと的外れ。
“何を書くかではなく、如何に書くかである”という言葉を思い出すような作品。
と書くのがピッタリくるカンジかな?

それにしても残るのはアノ歌。アタマの中でグルグル。
                       ♪ま~げぇて~ の~ばしぃて~♪
by スゥ。 (2006-07-03 02:07) 

miyuco

>スゥ。さん
そうですね、気づかなかったですね。
それとも、うすうす感づいていたけれど物足りなかったのかな。
あの歌はホントにグルグルでした^^;
by miyuco (2006-07-03 10:22) 

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