SSブログ

『ブラック・ダリア』 [外国映画]

あまり芳しい評判を聞かないので、観に行こうかどうしようか迷ってた。
40年代のLAを舞台にしたフィルム・ノワール、
こういう映画を最近観ていないなと、ふと思い、
また、旬の女優、スカーレット・ヨハンソンに興味を惹かれて
映画館に出かけました。

雰囲気は好き。セピア色の画面。
ジョシュ・ハーネットがよかった。
地味めなお顔ですが、ふとした瞬間に若い頃のブラピの面影がよぎる。 
子犬のような目。ぴっちりと真ん中でわけて撫でつけた髪がよく似合う。
スカヨハをスクリーンで観たのは初めてですが、アンバランスな容姿が魅力的。
この映画を観た限りでは、妖艶さよりも清潔感を感じました。瑞々しい。
きれいな瞳に吸い込まれそう。
フィルム・ノワールに付き物の、
男を堕落させる「ファム・ファタール」(運命の女、危険な女)
ヒラリー・スワンク、悪女っぽい佇まいがよかった。
(真の意味での「ファム・ファタール」はブラックダリアでした)

レズビアン・バーのショー、楽しそうに撮ってるなと思いました。
冒頭のボクシングといい、妙に長い時間をかけてるのは監督の好みだから?

ブラックダリアの死体を発見して叫ぶ女を俯瞰でとらえたシーン。
らせん階段と殺人現場の演出、ヒッチコックみたい。

以下、ネタばれです。

 

伏線が足りない。
映画のラストで一気に真相が明らかになります。
唐突なかんじ。
マデリンの名前をメモ書きしたマッチを見て、
リーが動いていたとバッキーが気づく。
それだったら、リーがマッチを受け取った時に
何らかのショットを入れるべきじゃないのかな。
ヒッチコックだったら絶対そうしてると思う。
二つの映画が同じセットだと気づくにしても、
いまひとつ演出が足りないような気がする。
もっと仕掛けてほしかったです。

真犯人の独白だけで真相が語られるなんて、二時間ドラマみたい。
狂気に満ちた女が憎んでいたのは実の娘。
血のつながりがないとはいえマデリンと父親との関係はあやしげです。
それでも、ブラック・ダリアの死に関しては、納得できる説明ではないと思う。

スカヨハ演じるケイの腰に刻まれたBDはミスリードのつもりなのかな。
ブラック・ダリアではなく、銀行強盗犯のボビー・デウィットの名前。
ケイとリーが恐れているので、
どれだけ凶悪な人間かと思っていたらそれほどでもなかった…
恐れていたのは別の事だったのね。

結果的に男を手玉にとっているのはケイでした。
本人は意図していないかもしれないけれど。

ヒッチコック映画の時代風景とかファッションが好きだったので
40年代を舞台にしたこの映画の雰囲気は楽しめました。
デ・パルマってもっと血みどろなイメージがあったけど、
ショッキングとまではいかなかった。

実は彼の作品は、血しぶきイメージが怖くてほとんど見てないのでございます。

d0052997_14542443.gif

 意味わかんない、とか犯人がわからないという文章をときどき見ます。
親切ではないけれど、わからないというストーリーではないと思う。
(わかったつもりでいるだけなのかなと思ったりもするけれど)

『氷の微笑』公開時、映画のミスリードをそのまま受け止めた観客があまりに多く、
キレた監督が犯人はシャロン・ストーンだと言ってしまったのを思い出したりする。
(妹に説明するのに苦労しました。これは映像が語っていたと思うんだけどな)

 


nice!(1)  コメント(6)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

nice! 1

コメント 6

流星☆彡

おっ[!] 映画館で観られたんですネ♪
'40年代を舞台にした雰囲気は、十二分に楽しめましたネ。
スカヨハ☆ '84年 生まれ なのよね[目玉][!!]
身近な女の子(=幼少時を知ってる子)と比べると、結構 ショックが大きい[汗汗]
今 見ても 引退時の百恵ちゃんが カッコイイ[ぴかぴか]みたいな女性像に、彼女は
なるでしょうか!?声がハスキーなのも、色っぽさ[カクテル]を 生み出す
一つの要素ですけど、声を消して見ると 意外と 実年齢が隠せない…瑞々しさが
にじみ出てきたりしますよね。

“狂気に満ちた女が憎んでいたのは実の娘”に関して…
私は、白雪姫の元々の話=継母ではなく、実の母だった←に えらくsympathyを
感じる、自身の生育体験が あったりして。昨今の「いじめ」関連記事に、
“自分は 親の愛情を感じて支えられていたからこそ、死なずに 生きてきたんだ”
旨の感想を読むと、「いいな~!そんな生育家族を持ってて…」とか感じてしまう
自分が居て、なかなかコメントなんて書けずにいます。自分が自殺を実行せず
生き延びてきたのは、親に愛されてたから…では てんで なく、何か他の要素に
守られていたから…と確信してる大人ですから して。。。[汗]
↑昨日 スカヨハの出演作『マッチポイント』を観ましたが、←この映画の主題通り、
まさに 親・家族・自分の心がけ etc.とは関係ない 「運」が、私を 延命させた
・・・と 確信しておる次第だったりして。。。^^;
by 流星☆彡 (2006-11-18 21:00) 

かいろ

miyucoさん、こんにちは。
わたしも‘雰囲気は好きだった’に一票!でございます。
原作と比べるのはナンセンスだとは思いますが、珍しく映画の前に小説を読んでいたわたしは(でも前すぎて細かいところまでは覚えていないんだけど)、‘やっぱり映画が原作を超えることって本当にごく稀なことなんだ’という確信を新たにしてしまったかもです。
ちなみに原作の終わり方はなんだか不思議に透明感に満ちていてすごく好きでした。登場人物もやっぱり描き方が違っているし・・・。せっかく家にあるので、もう一度読み直してみようと思います。
それではこの辺で。
by かいろ (2006-11-18 23:51) 

miyuco

>流星☆彡さん
ウッディー・アレンはスカヨハ嬢を気に入ってるんですね。
たしか次回作も彼女が主演でしたよね。
笑うと無邪気なかんじでかわいかった[ラブラブハート]

流星☆彡さんがおっしゃる「運」というのはとてもよくわかります。
「幸福な食卓」で書いたんですが、他人じゃなきゃ救えない部分があると
わたしも思っています。それは思いもよらない出会いと言い換えられるのかな。
だから、自分の子供には、少しでも多くの人と出会えるようにサポートしたいなと思っている次第です。
私自身は少し人疲れしていて下降線な気分なのに、ひとには前向きな事を
言ってしまうのは、何故なんでしょうか[目玉]
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2006-11-19 17:14) 

miyuco

>かいろさん、こんにちは。
原作、興味ありますが、絶版のようです、残念。
雰囲気、良かったですよね[映画]
わたしは『L.A.コンフィデンシャル』を観ていないのです。
絶対に観なくては、と『ブラック・ダリア』を観て、思いました[!!]
コメントありがとうございました♪
by miyuco (2006-11-19 17:21) 

真紅

miyucoさま、こんにちは。コメントありがとうございました。TBさせて下さいね。
「ケイが男を手玉にとっていた」という視点は、私には全くなかったので驚きでした!
父親とマデリンの関係は、確かに怪しげでしたね。
パイレーツ鑑賞直後に観たので、私も全くわかりにくくなかったです(笑)
原作、文庫で復刊したのではないでしょうか?
『LAコンフィデンシャル』いいですよ~、キム・ベイシンガーが美しくて!!
ではでは、また来ます~。
by 真紅 (2007-06-04 14:57) 

miyuco

真紅さま、こんにちは。
フィルム・ノワール、怖いけど好きなんです。
そうそうパイレーツよりずっとわかりやすかった^^
『L.A.コンフィデンシャル』
近くのTUTAYAには置いてないんです。
BSで放送していたときに録画しておけばよかった。
激しく後悔しております(><。)。。
コメントとTBありがとうございました♪
by miyuco (2007-06-05 11:29) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。