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『図書館戦争』 有川浩 [読書]

うっ、痒い!なんなの、このラノベ口調全開のセリフは!
「王子様に追いつきたくて」って、痛い!痛すぎる!

…というような文章に耐えられるかどうかが、
この本を読むときの試練でございます。

「何でこの人あたしの名前知ってんだろう?」
このセリフ…
遠い昔、乙女チックラブロマン関係の少女マンガで
飽きるほど見てきたシチュエーション…
やっぱ、痒い…

直情径行、猪突猛進な女、【笠原郁】の成長物語。
舞台は図書館を守るために結成された図書館防衛部。
楽しいラブコメです。

 

検閲を合法化した「メディア良化法」を根拠法とした
「メディア良化委員会」にとって、
検閲を退けてあらゆるメディア作品を自由に収集し
かつそれらを市民に供する権利を合わせ持つ公共図書館は、
ほとんど唯一の「敵」
軍備を持つメディア良化委員会との抗争に備えて、
図書館も警備隊を持つに至る。

郁の王子さまが誰なのか、読者にはすぐにわかるはず。
登場人物たちの意識の流れが
すべて文章になっていて、とてもわかりやすい。
だから、つい流し読みしちゃうんだけど。

主人公の周りにいる人物たちの
行き届いたサポートは気持ちいいです。
上官3人、同期2人。みな魅力的。
手塚のわけわかんない思考も、おもしろい。
堂上にあこがれるがために、
郁とつきあってみようと考える…それってなに?
郁を支える包囲網に、こういう感じ
どこかで見た覚えがあると思った。
ちょっと違うけど、岡ひろみを支える西高の先輩がた、
藤堂、尾崎、おチバ、お蝶夫人の献身ぶり。
(全然ちがうかな^^;)

なぜ、こんな偏向した法律ができてしまったか。
「そもそもメディア良化法成立以前に
反発すべきであったマスコミは、
政府発表を咀嚼しない垂れ流し報道、
形骸化して実効を持たない政府批判に終始し、
メディア良化法に無批判に準じたも同然であった。」
「社会に蔓延する政治的無関心も手伝い、
国民は同法についての予備知識を
ほとんど与えられずその成立を受け入れることとなった。」

おそろしい話ですが、現実にも起こり得ることです。

「子供の健全な成長を考える会」
というPTA団体が学校図書館の自主規制を
求めていることに中学生が反発します。
「どうして大人はただ本を面白がるということを許してくれないのか。
自分たちはただ面白がるためだけに本を読むくせに。」

子供の読書に意義を求めたがる大人。
子供には読むべき意味、
読むべき価値がある本を読ませるべきで、
子供は読書から何かを学ぶべきだ。

ほんとに大きなお世話だよね。
今は、まだましになったほうだと思う。
わたしが10代の頃はこの論調がメインでした。
ミステリー、SF、何を読もうが、
そこから何を感じようが、わたしの自由でしょ
と思っていた若き日々^^;

『図書館内乱』も読みましょう。

図書館戦争

図書館戦争

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: メディアワークス
  • 発売日: 2006/02
  • メディア: 単行本


タグ:有川浩
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コメント 6

びっけ

す、すごい!! 雪が降ってる!
と思わず、ブログ初雪にnice!です。
さて、『図書館戦争』『図書館内乱』、私の周りでも‘おすすめ’という声を聞きます。しかし、未読。年末年始読書三昧リストに加えて、読んでみたいと思っています。
by びっけ (2006-12-16 14:15) 

miyuco

ふふふっ、スゥ。さんに教えていただきました。
びっけさんも雪を降らしましょうよ[雪][雪][雪]
サイドバーの一番下にリンク貼ってあります。
『図書館内乱』は「つづく」で終わるようなので
次回作が出たら読もうかと思います[ぴかぴか]
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2006-12-16 15:12) 

読まれたのですね。
確かに文章は痒いです。乙女チックで、少女漫画?って感じですね。
でも、中に含められているメッセージは凄いものがあると思うのです。読書の自由を守ること、思想の自由を守ること。今、当たり前のように私たちが享受している自由は、実は危ういところにあるんだ、と考えさせてくれます。
この作品、本当に図書館のことをよく調べて書かれています。関係者しか知らんだろ、というような妙な細かいところまで。『図書館内乱』もそうです。現実の図書館には軍隊はないし、メディア良化委員会も存在しないけれど、それ以外は今の図書館とほぼ同じなんですよね。そこがちょっと怖いです。
しかし、岡ひろみとは、言い得て妙なり。感服いたしました。
ラブコメの続きがとても気になります。
昔の記事ですが、TBさせてください。よろしくお願いします。
by (2006-12-27 16:16) 

miyuco

>ミミ猫さん
図書館についてはほんとによく調べてますよね。
軍隊の組織についても納得できる描写です。
(『空の中』で自衛隊を描いていたからかな)
郁はみんなに強力なバックアップを受けてますが
そういう扱いを受けるに値する魅力を持っています。
そのあたりはきっちりと描かれていて好きです。かわいい[ラブラブハート]
乙女チック、いいですよね。
nice!とコメントありがとうございました♪
こちらからもTBさせていただきますね。
by miyuco (2006-12-28 09:45) 

びっけ

こんにちは。
御用達の図書館に予約を入れて早何ヶ月・・・ようやく、この夏、順番が回ってきて読みました。
ちょっとバイオレンス?系乙女チックラブコメですよね。(^^;
私は、単純に「手塚」という苗字だけで、手塚=テニプリの手塚部長=見た目が「エースをねらえ!」の千葉ちゃん!という発想で、「エースをねらえ!」を思い浮かべていました。
miyuco さんの理由の方が、明快だわ!(^^;

個人的には、PTA団体が選書にも口を出してくるあたりがリアルにゾクッとしました。
というのも、実は私の勤務する学校での選書担当は、私と司書教諭の2名なのですが、私はどうしても、「リアル◎◎ごっこ」のような、めちゃくちゃな日本語の作品は入れたくない!!というスタンスで選書リストを作っているからです。
これも、一種の検閲でしょうかね?
ちょっと、ビクッとしながら読みました。
by びっけ (2008-08-25 16:24) 

miyuco

>びっけさん、コメントありがとうございます。
アニメ化されたので順番待ちが増えたのでしょうか?
手塚くんのビジュアルイメージはテニプリの手塚部長に
変換して読んでましたよ^^
完結したらあと二冊続けて読もうと思っていたのを
思い出しました!

図書室の選書は予算もあるし難しいと思います。
ある程度、選ぶ人の意思が入って当然だと思うし
読みやすい本だけ選ぶわけにはいかないですものね。
でも、市営図書館の品揃えには文句言ってます^^;
「しゃばけシリーズ」は老若男女人気があるのだから
もう少し新作の冊数を増やして欲しい!とか…


by miyuco (2008-08-26 19:33) 

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