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『僕の歩く道』 『Dr.コトー診療所2006』 [TV]

連ドラが次々と最終回を迎えています。

『僕の歩く道』
輝明を演じる草彅くんの演技は透明感がありました。
自閉症の主人公は変わらずそこにいて、
周囲の人間が変わっていくドラマだと思っていた。
でも、それだけではなかった。

何気ない言葉の端々からこの家族が歩んできた状況がにじみ出る。
家族のそれぞれがどんな気持ちで過ごしてきたか、伝わってくる。



母からのプレッシャーに苦しむ甥っ子の小学生幸太郎と
輝明が関わるストーリーがとても印象に残りました。
慣れた道しか通れない輝明が、幸太郎を捜すために
通ったことのない道に踏み出そうとするシーン。
自分のペースを守って暮らしている輝明が、
幸太郎のためにひとりで一歩を踏み出そうとする。
彼にとっては勇気を振り絞らなければ
乗り越えられない高いハードル。
それを見た幸太郎の表情もよかった。
「輝明おじちゃん、新しい道、教えてあげる」

大杉漣演じる園長。
「ふりをしている」と自嘲気味に言うけれど、
「ふりをしている」というふりをしているだけに見える。
最初はどうであれ、だんだんと「ふり」ではなくなっている。
小日向さん演じる自閉症の息子への
苦い後悔を持っている古賀。苦しいですね。
輝明の兄を演じた佐々木蔵之介、
こんなにうまい役者さんだなんて知らなかった。
最終回で都古が言うセリフ
「テルが私を必要としてたんじゃない。私が、テルを必要としてたの。」
お母さんにとってもそうだったんでしょうね。
長山藍子の演技は深みがありました。
難しいテーマだったのに、過剰にセンチメンタルでもなく
テルを聖者のように扱うのでもなく、とてもよかった。
心に残るドラマでした。

妹のりなちゃんを見ていて、
『静かな生活』という大江健三郎の小説を思い出しました。
長男で障害を持っている光さんをモデルにした小説。
妹のマーチャンの視点で綴られます。
駅のホームでてんかんの発作をおこしたイーヨー(光さん)を
懸命に支えるマーチャン。
気が付くと、人波から守られていたのは
マーチャンのほうだったというエピソードがありました。

『Dr.コトー診療所2006』
剛洋の教育費を捻出するために
奔走する剛利の姿がつらかったな。
奨学金とか教育ローンとかあるのに、と言ってあげたかった。
剛洋のお母さんが生きていたら、
もうちょっと違う展開になっていたかもと思うと
なおさらつらかった。

今回は「ウチさん」や「あきおじ」のように
味のある年輩の役者さんが出てこなくて残念でした。
冷たいだけの医者だと思っていた鳴海先生が
コトー先生に投げかけた問いは重みがありました。
でも、コトー先生の立場で、他に選ぶ道があるのかな。
これほどの痛みをともなう行為を自己満足だとか偽善とは言えない。
堺雅人が鳴海先生を演じる必要性を感じなかったけれど、
最終回での手術中の一喝は迫力でした。

和田さんを演じる筧さんは、野武士のような佇まい。大好き。
彩佳に贈った島の日めくりカレンダー、すてきでした。

今夜は『のだめ』の最終回。
先週、予告の千秋さまの涙目を見ただけで
私も泣きそうになってしまった(><。)。。

静かな生活

静かな生活

  • 作者: 大江 健三郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: 文庫


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コメント 4

綺華

結局、ツヨポンのドラマは見なかったのですがよいドラマだったのね。

以前勤めていた保育園で障害を持ったお姉ちゃんのいる女の子を
担任したんだけど、悲しいくらいに1人で何でも出来る2歳児でした。
子供を持つ前だったら、「シッカリした子」とそれだけで
終わってしまったと思うけど、当時は健気で必死な彼女をフォローする事を
心がけていた事を思い出しました。

守ってあげてるつもりが、実は思いやられているって事・・・・
多いのかもしれませんね。


Dr.コトー診療所は毎回ツライ問題ばかりが起きて、ドラマなんだから
しょーがないと思いつつ(笑)、見ていてキツイ時もありました。
特に友人を乳ガンでなくしているので闘病している姿はリアルに
いろいろ思い出されて泣けてきました。
島の医者は患者がすべて身内・・・確かに厳しい現実だと気がつきました。
コトー先生がどんな思いで島に戻ったかを思うと、
医師は聖職だと言うけれど、やはり生身の人間であり、
人の命を扱う仕事の厳しさを改めて感じました。
by 綺華 (2006-12-27 15:59) 

『僕の歩く道』は、以前身近に自閉症の人がいたことがあって、観るのが辛い作品でした。けれど、最終回での宮古のセリフ、とても心に響きました。障害者や健常者の区別なく、みんな周囲の人間に支えられつつ、互いに支えて生きているのですね。
『Dr.コトー…』は、剛利が意地を張りながら息子の学費を稼ぐために働く姿が、途中で辛くなってしまいました。でも、やっぱり、しげさん、美味しい役ですね。涙が出そうになりました。和田さんも、悩むコトーの背を押してくれる、いい役でした。最終回では、コトーの母親が声とシルエットしか出てこなくて、一体誰か、とダーリンと当てっこしたのですが、私の「宮本信子」説が勝ちました。
医者も一人の人間である、彩佳の手術はそれを叩きつけられた気がします。コトーが島でどういう医師になっていくのか、それは未完成の物語かもしれませんね。
by (2006-12-27 16:38) 

miyuco

>ayakaさん
輝明の兄妹は、それゆえにつらい事があったと母親に言いますが
うらんだり、憎んだりしているのではなく、少し振り向いて欲しい
自分たちの事もわかってほしいとの気持ちの表れのようでした。
言葉の端々からそれが伝わってきました。
ayakaさんの出会った二歳児のお嬢ちゃんも、きっといろいろと感じながら、がんばっていたんでしょうね。

『Dr.コトー…』彩佳の病気はつらかったです。
ポキンと折れてしまいそうで…
コトーは重い課題に気づいてしまいましたね。
きっと続編があるんじゃないかな。
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2006-12-28 09:17) 

miyuco

>ミミ猫さん
しげさんは、ほんとにいい味出してましたね。
タケトシさん、ひとりで抱え込まないでと思いながら
私もつらい気持ちで観てました。
『僕の歩く道』
輝明が小さいときは今よりもっと、たいへんだったんでしょうね。
自閉症のひとを身近に知っている方は、そこらへんをよくご存知だから
これを観ているがつらいと思います。
きれいなだけではない現実がありますから。
でも…せめてドラマではうまくいってほしいと思いました。
難しい題材ですよね。
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2006-12-28 09:29) 

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