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『12番目のカード』 ジェフリー・ディーヴァー [読書・海外]

『ボーン・コレクター』から始まった
リンカーン・ライムシリーズ第六作。
あいかわらずおもしろいです。
前作『魔術師(イリュージョニスト)』では、
ひねりにひねった波状攻撃に
もうかんべんしてください、ついていくのが精一杯です
という気持ちになりましたが^^;(最高におもしろかったけど)
今回はそこまで息づまる展開ではありませんでした。
でも、十分おもしろい。
難点はひとつだけ、動機が弱かったことかな。

文章に織り込まれているトリックにまんまと騙されてしまう。
その結果、登場人物の印象が
途中でガラリと変わったりします。

このシリーズでは、犯人と思われる人物が捕まっても
安心するわけにはいきません。
思いも寄らないところから攻撃の手が伸びてきます。
謎が解けたと思いきや、まだまだ裏があったりします。
最後の一ページまで気を抜くべからず

リンカーン・ライムがエアロバイクを
漕いでいる登場シーンにビックリ。
ライムは捜査中の事故により首から下が麻痺、
左手の薬指だけが動く。
ほとんどの時間をベッドに固定され、絶望感から
自暴自棄になっていることが多かったから。

「勇気の手本であり、
希望の象徴であるクリストファー・リーヴに捧ぐ」
ライムがエクササイズを始めようとしたきっかけは
彼よりも重篤な障害に苦しんでいた彼の存在だった。

映画「ボーンコレクター」では
デンゼル・ワシントンがライムを演じましたが
原作では白人で映画俳優のように整った
容貌の持ち主となっています。
(今回はこういった描写がなかったけど)


かつてはNY市警の鑑識課を監督する
科学捜査部を率いていた。
現在は科学捜査専門家としての知識を生かし、
NY市警捜査顧問を務める。
新米警官プラスキーが現れるとすぐに分析をはじめるライム。
根っからの分析屋なんですね。
「傷だらけの結婚指輪から
高校卒業後すぐに結婚したのだろう。
あんな目で子供を見るのは、自分にも子供がいるからだ」
ルーキーくん、死ななくてよかった!

アメリア・サックス
映画ではアンジェリーナ・ジョリーが演じました。
私はいまでも彼女をイメージして読んでしまう^^;
赤毛の元ファッションモデル。容姿端麗。
射撃の名手で車の運転はクレイジー。
1969年型カマロをぶっとばす。
NY市警刑事。

毎回、レギュラー登場人物の誰かが生命の危機にさらされる。
ライムの介護士をつとめるトムも狙われたことがある。
わがままで癇癪持ちのライムをたしなめるすらりとした美青年トム。
保護者のいないジェニーヴァを母親代わりになって世話をやく。
彼はゲイなのでした。(この設定も今回は描かれてなかった)

皺だらけのスーツがトレードマーク、
太り気味の刑事、ロン・セリットー。
刑事としての資質を問われる試練を
乗り越えなければならなかった。

     

16歳の女子高校生ジェニーヴァは博物館で男に襲われる。
現場に残っていたのはレイプのための道具とタロットカード。
その後もジェニーヴァを執拗に狙う殺し屋。動機はなにか。
米国憲法成立の根底を揺るがす百四十年前の陰謀に
結びつくものではないかと考えられる。
そこにジェニーヴァの先祖である解放奴隷チャールズ・シングルトンが
関与していたのだ…

     

やせっぽっちで気丈なジェニーヴァ。
ハーレムから抜け出すことだけを考えていた彼女が
不当な差別を受けたハーレムの住人の弁護を手伝うようになる。
それは先祖チャールズ・シングルトンと父親からの影響です。
ジェニーヴァは魅力的に描かれてます。
孤独に耐えギリギリの状態で必死に生きてきた彼女の未来に
希望がみえてきたようで読んでいて嬉しかった。

ラストシーンの奇跡。小さな勝利。
静かに勝利をかみしめるライムの描写が好きです。
とてもライムらしい。

ジェフリー・ディーヴァーはやっぱりおもしろい!

12番目のカード

12番目のカード

  • 作者: ジェフリー ディーヴァー
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 単行本

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