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『犯人に告ぐ』 雫井脩介 [読書]

おもしろかった!一気読みでした!

単行本の帯に伊坂幸太郎の推薦文がありました。
一気読み!二章まで読み終えた僕は、最高だねこれは、と興奮し、
つづきが気になるあまり、風呂場でも読んだのでした。

おなじく…私もお風呂場に持ち込もうかどうしようかと久々に悩んだ。
でも、ふやかしたら次に読むダンナさんに文句言われるので自重。
結局、夜更けまで読み続けてしまったわけで。

潜行し動きがなくなった連続殺人犯をあぶり出すために
警察は捜査責任者をニュース番組に出演させるという
荒技に踏み切る。前例のない劇場型捜査。
捜査官・巻島史彦警視は6年前、誘拐事件で失敗、
左遷されていた人物だった。

6年前の誘拐事件の身代金受け渡しの状況が最初に出てきます。
緊迫感があり、引っ張られます。
あまりにも警察の都合優先でお粗末きわまりない捜査。当然のごとく失敗。
犯人はとり逃し、五歳の男の子は遺体で発見される。
読んでいて腹が立ってたまらなかった。

犯人の指定した時間を二度にわたって守らない。
警察の準備不足が理由で時間稼ぎした結果だなんて
許されるわけがない。
誘拐されたのが相模原、身代金受け渡しが新宿
犯人は意図したわけではないでしょうが
神奈川県警vs警視庁の最悪のシナリオになってしまった。
警察内部の権力抗争の話は不愉快で大嫌いだけど
我慢して読みました。もっとやりようがあるだろうと思いながら。
花火大会が終わって人が引いていく場所に残っているのが
身代金を持った母親と刑事だけなんていうあからさまな状況は
悪夢としかいえない。失敗して当然でしょう。

巻島もそんな警察の体質にどっぷりつかっているように見える。
捜査ミスから五歳の子どもを死に追いやったことを
どんなふうに受け止めていたのか。
6年後、現在の巻島は自分はあのとき一回壊れてしまったと自覚している。
そして五歳と六歳の子ども四人を連続で殺害した犯人をあぶり出すために
メディアの最前線に立つ。

獅子身中の虫・植草の動きにどこで気づくか、どんなふうに排除するのか
そして甥の植草が嵌められたと知ったとき上司である曽根はどうでるのか。
巻島の逆襲ともいえる曽根のあしらい方には溜飲を下げました。

「恋に生きる(笑)植草」の増長っぷりは笑止!という感じです^^;
もうひとりのおばかキャラ、チョンボ小川くんは憎めないヤツ。
捜査のときは何故かツイてる落ちこぼれ警察官。
今回はずいぶん大きな手柄をたてました。
犯人の手紙からの情報をてがかりに試みるひっかけが
おもしろかった。

時間が経つにつれTV出演する巻島への毀誉褒貶が激しくなり
公開捜査も限界にきていた。
閉塞状態で身動き取れなくなったときに、犯人のミスが発覚。
そこから犯人確保まではあっけなかった。
でも犯人の側の事情が書き込まれてないと批判する気にはなれない。
捜査過程を一気に読ませる構成はスピード感がありました。
おもしろかった!

「泣きたいときは泣いていいんですよ」
津田はこう言っていた。(津田さん、いい人だ)
6年前の事件が巻島のなかにどんな形で残っているのか
亡くなった子どもの母親とのやりとりで最後によくわかりました。
組織のしきたりに縛られて自分を殺していた男が
ひとりの人間に戻った瞬間に放たれる慟哭に胸を衝かれました。

犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1)

犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1)

  • 作者: 雫井 脩介
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2007/09/13
  • メディア: 文庫

単行本で発売されたときの豪華な帯を記録しておきます^^
[絶賛!]横山秀夫氏 幹が太く、仕様の繊細さが心に絡みつく警察小説だ。
[喝采!]福井晴敏氏 メディアという暴力装置と真っ向から取り組み、
汚濁の中に一縷の希望を見出そうとする。この作品で著者は新たなステージに立った。
[一気読み!]伊坂幸太郎氏 二章まで読み終えた僕は、最高だねこれは、と興奮し、
つづきが気になるあまり、風呂場でも読んだのでした。

 


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