ドラマ『点と線』

「しゃばけ」を録画していたので
うっかり裏番組の「点と線」を見てしまった。
ちょっとだけ見るつもりだったのに
最後まで目を離せなかった。

たけしの存在感に圧倒されて。

昭和３２年が舞台。敗戦から１２年しかたっていない。
（三丁目の夕日と同じ時代設定）
戦争の傷跡を抱えて生きている人間を
たけしが凄みのある容貌で演じ、
確かにそこに存在させていた。

地を這うように歩き回り自分の目で確かめて捜査する
無惨に殺された者の無念を晴らすために
その一念が伝わってきました。

４０代の高橋克典がペーペーのように感じられた＾＾；
たけしとの組み合わせがとてもよかった。
熱演でした。一歩もひいてなかった。
こういう演技をする人なんだ。

演技しているところを見たのは初めてで私には新鮮でした。
熱い心意気が男らしくてかっこよかった。
「三原くんはカンが悪いですよね」
と鳥飼に言われてましたけど＾＾

鳥飼刑事の射るような視線と対峙する真の黒幕、亮子。
夏川結衣がきれいだった。
勝ったのは亮子。
最愛の夫の危機を救う計画を立て、共に実行し
同時に夫を奪おうとする女を亡き者にする。
最後には夫と一緒に死んでいく。
香椎の海で目的を果たしたあとは夫を手に入れた満足感で
ぞくぞくするほど嬉しかったことでしょう。
弱い立場だった亮子が自分の書いたシナリオで表舞台に躍り出る。
その高揚感、冷酷さが夏川結衣演じる亮子から感じ取れました。
同時にそれまでの彼女の苦渋も伝わってきて哀れでもありました。

豪華なキャスティングでした。もったいないというか。
市原悦子は相変わらず安心感があって惹きつけられます。

あまりにも有名な４分間。
東京駅の１３番線から１５番線を歩く二人が目撃される。
そこで目撃されたふたりの姿が重要な意味を持つ。
しかし１３番線から１５番線を見通せるのは
一日のうちたった４分間だけだと鳥飼は気づいた。
あまりにも出来すぎた偶然で、作為が感じられる。
目撃者をこの場所に立たせた人物は
この４分間が特異な状況だと気づいてなかったか
そこまで調べられると思ってなかったか。

仕掛けた側としては明らかなミスだけれど
気づいた鳥飼のGood jobと言うべきなのか。

アリバイを崩すために足を棒にして捜査する。
どうしても崩せないとあきらめかけたところで解決する。
あっけないし唐突だけどしかたないです。
今だったら「飛行機」と「車」が移動手段として簡単に頭に浮かぶけど…

博多に帰る鳥飼が捜査二課の面々に合掌し
それに応えて揃って一礼する場面にジーンとしました。

５時間は長かったけれど、じっくりと観てしまった。
おもしろかった。
視聴率もよかったようですね。

コメント 4

全く同感です
タケシはもちろん、高橋克典、良かったです
一歩も引いてなかった
鳥飼が博多に呼び戻されるときの合掌、捜査２課の最敬礼
鳥肌が立ちました、何故か泣きそうになりました
松本清張も、これならあの世で満足してると思います[！]
by NO NAME (2007-12-01 03:08) 

コメントありがとうございます。
あの別れの場面、三原だけが頭を下げなかったんですよね。
最後まで鳥飼と捜査したかったという無念さがにじみ出ていて
そこにもジーンとしてしまいました。
by miyuco (2007-12-01 23:37) 

miyucoさん、こんばんは。
無骨な刑事役のビートたけしは「演技」をしない。
グラマン戦闘機の機銃掃射弾の破片が躰の中に入ったままという設定に
特別なリアリティは感じられないけれど、
敢えて整形しなかった「顔」に説得力がある。
でも「刑事ヨロシク」の方がキャラ的には似合っているのかな＾＾;

「特命係長 只野仁」で一皮剥けた高橋克典も良かったでしょう？
お互いに打ち解けて話したいことがあるのに些細なことでタイミングを
逃してしまう‥‥「男の友情」って、そんなものなんですよ＾＾
30年代風景の再現（オープンセット）よりも、
登場人物全員が「昭和顔」というキャスティングが秀逸だった。
by sknys (2007-12-02 19:32) 

＞sknysさん、コメントありがとうございます。
たしかに「昭和顔」の役者さんばかりで
それが画面を安定させていました。
鳥飼が直接対決する相手を女性に設定したところが
よかったと思います。男性だとたけしに拮抗することは難しい
とくにギバちゃんではちょっとムリじゃないかな[汗汗]
高橋克典はとてもとてもよかった！
（「只野仁」も「刑事ヨロシク」も見てないです＾＾；）
by miyuco (2007-12-03 22:13)