『儚い羊たちの祝宴』 米澤穂信 [読書]
あらゆる予想は最後の最後で覆される。
「ラスト一行の衝撃」にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ。
帯のこんな文句を見たらわくわくしてしまう。
さて、どんなふうにラストで落としてくれるのか
おもしろかった!
五編収められている短編集。
すべてが女性の一人称で語られています。
「暗黒」連作ミステリと帯にはありますが
なるほど「暗黒」なテイストです。
『身内に不幸がありまして』
やられました。鮮やかでございます。
人の道を外れた兄と一見優等生の妹は正反対のようで
同じ血を引く者同士、どこか似た性質を持っているとわかる。
これはこの後の短編も期待できるかも。
「バベルの会」という大学の読書会が出てきます。
「The Babel Club Chronicle」
と表紙にあるのはこれのことなのですね。
『北の館の罪人』
「ラスト一行」とは言えないけれど、さすがの出来です。
罪人であることが露呈し、ここが終の棲家となるのでしょう。
『山荘秘聞』
フェイクがきいてます。
「特別な渉外」ってどんな事だろうというのが
最初のひっかかり。
『玉野五十鈴の誉れ』
う~ん、ブラック!
「あなたはわたしの、ジーヴスだと思っていたのに」
「勘違いなさっては困ります。
わたくしはあくまで、小栗家のイズレイル・ガウです。」
「イズレイル・ガウ」とはどんな人物なのか
調べてみると推測にすぎない五十鈴の行動が
はっきりとした意味を持ちます。
『儚い羊たちの晩餐』
蓼沼に集まる「アミルスタン羊」
わたしの夢想に捧げられた、夢見る儚い羊たち。
悉く狩り尽くされ、あるいは一匹も残らない。
雄は下々の食材、雌は羊よりもなお味が良い。
だからこそ、語り手は全て女性だったわけですね。
以下、未読の方はご注意を
『山荘秘聞』
「触れれば切れそうに真新しく、
人を殴り殺すこともできそうな煉瓦のような塊」
一読しただけではこれが何なのかわからなかった…
(o´_`o)ハァ・・・
読み返すと私は口約束は信じないから“これ”を渡しますと
書いてあるではないですか。
そっか~それだったのか。
殺人鬼の方向で読んでいたのが、ひっくり返される。
「あらゆる予想は最後の最後で覆される」
という帯の言葉が見事に当てはまります。
しかし「塊」ってどれだけ莫大な金額なのかな。
ヒマラヤにはかるく行けるわね^^;
楽しませていただきました!
バベルの会とは、幻想と現実とを混乱してしまう 儚い者たちの聖域(アジール)なのです。 現実のあまりの単純さに、あるいは複雑さに耐えきれない者が、 バベルの会に集まってきます。 わたしたちは、いわば同じ宿痾(しゅくあ)を抱えた者なのです。 |
スミマセン、今回も関係無いコメントです!
家の旦那はメッチャ読書家?です。
マンションの底が抜けるほど本があります!
で、1階に自分専用の部屋を購入してしまった位?です。
本だけの為ではなく、陶芸もやってるし、チョロQとか、
色んな物を集めてるし、庭も欲しいし、とか様々な理由を付けてヘソクリをためて10年前に?購入しました!
私は外で働いていないので何もいう事は出来ず、只黙って?従った振りをしています!
今では定年になったので、鼻を突き合わせることも無く
住まいで就寝し夜飯を一緒に食べるだけで、気軽な生活を出来て、お互いにある程度の自由な生活を謳歌?しています。(経済的にはかなり大変なんですが・・・ね。)
by 薔薇少女 (2009-01-28 15:50)
おおっ、理想的な生活ですね!
うらやましいです。
趣味のある旦那さまだと「ぬれ落ち葉」なんて事に
ならなくて気が楽ではないですか^^
ウチは出かけようとするたびに「どこ行くの?」なんて
聞かれそうです【T__T】
コワイコワイ
by miyuco (2009-01-29 15:45)