SSブログ

『ナイン・テイラーズ』 ドロシー・L.セイヤーズ [読書・海外]

おもしろかった!
「転座鳴鐘術」という鐘の打ち方についてのあれこれが
語られると、どうにも取っつきにくく挫折しそうになりましたが
それを乗り越えると村人たちとのやりとりが楽しくなる。

「お目にかかれて光栄でのす、御前さま。
へえ、わしゃテイラーポールをごっそり引いてきたで。
あの娘(こ)とわしとは長いつきあいじゃで、
これからもずんと引いちゃる気でのすよ。」

というような田舎ことばが頻繁に出てきます。
なんだか懐かしい^^
中高生のときに集中的に読んでいた翻訳ミステリーに
こういう言葉遣いがよく出てきたような気がする。

犯罪捜査を趣味とする貴族のピーター・ウィムジー卿
アクが強いわけではなく気さくで飄々としています。
坂田靖子さんの「バジル氏」をイメージして読んでしまいました。
側に仕えるのは従僕のバンター。
バンターのキャラがいいんですよ^^
「まあ、バンターについて僕の知らないことといったら、
本一冊ぶんくらいありますからね」
とピーター卿が言うくらい底知れぬ(?)人物ですわ。

「交代で綱を握ってもらえないのが残念だ」
「誓って申し上げますが、鳴鐘術の実技を学ばずに
きましたことを生まれて初めて後悔致しております」
「おまえにもできないことがあると知るたびに嬉しくなる。」

「かしこまりました、御前」
といつもは堅苦しい姿しか見せないのに
台所では寄席の物真似がずば抜けて上手。
トーキーの倍は面白いと料理番が言っているらしい。
なんて素敵なんでしょう^^

「THE NINE TAILORS」 弔いの鐘― 九告鐘

吹雪の大晦日、午後四時過ぎ
ピーター・ウィムジー卿の運転する車は
溝にはまってしまった。
フェンチャーチ・セント・ポール村の教会に
従僕のバンターと泊まることになる。
教区長は新年を鐘で迎えるにあたり
9時間にわたり鐘を鳴らす転座鳴鐘を計画していたが
蔓延する流感のため、鐘方が足りなくなる。
そこでピーター卿は久々に鐘綱を握ることに。

無事に役割を果たした後に村をあとにするが
後日届いた教区長の手紙により再び教会を訪れる。
墓地に見知らぬ死骸が埋葬されていたのだ。

顔を潰され両手を手首のところで切断された死体。
死因は不明。
この死体は何者なのか?
誰がいつここに埋葬したのか?

過去の事件が解決の糸口になり
徐々に謎が解けていく過程がおもしろかったです。
暗号解読もあり、フランスまで舞台が移動したり
長編を飽きずに読むことができました。
転座鳴鐘術が暗号解読で意味を持つんですね。
死因は意外でした。
そしてあまりの酷さにゾッとします。

捜査のために自費でフランスに行き
(戦場跡を個人的に旅して回っているという名目で)
完璧なフランス語を駆使して捜査する。
ピーター卿の道楽は大がかりですね^^

ナイン・テイラーズ (創元推理文庫)

ナイン・テイラーズ (創元推理文庫)

  • 作者: ドロシー・L. セイヤーズ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1998/02
  • メディア: 文庫

次は「学寮祭の夜」を読みましょう!


タグ:ピーター卿
nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 1

miyuco

薔薇少女さん、nice!ありがとうございます♪
by miyuco (2009-03-14 13:22) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0