『氷菓』 米澤穂信

「奉太郎、姉の青春の場、古典部を守りなさい」
姉は文武両道のハイパー女子大生。
逆鱗に触れるのはまずいと判断した奉太郎は
部員ゼロで廃部寸前の古典部に入部することに。

古典部シリーズは人気があり何冊も出ているというのに
私はまったく知りませんでした。
読んでみたら、おもしろかった！
なんと言っても部員たちの個性が際だっています。

米澤穂信の文章は簡潔でムダがない
これがデビュー作とは思えません。

「やらなくてもいいことなら、やらない。
やらなければいけないことは手短に。」
省エネがモットーの折木奉太郎。

清楚なお嬢さま、千反田える。
しかし好奇心に火がつくと暴走する＾＾
記憶力、洞察力ともに優れているが
推理力はいまいち。
物事を真っ直ぐに見るお嬢さまは
裏を読むことに慣れてないのかもしれない。

奉太郎の旧友、福部里志（ふくべさとし）
目と口元に常に含んだ笑み、
無用な知識が豊富。
手芸部所属、古典部にも入部。

気を抜けば七色の毒舌が待っている。
伊原摩耶花（いばらまやか）と奉太郎は
小学校からの付き合い。
しかし彼女は自分にも厳しい。

そんな古典部のメンバーが謎解きをします。

いつのまにか密室になった教室。
毎週必ず借り出される本。
あるはずの文集をないと言い張る少年。
そして『氷菓』という題名の文集に秘められた
三十三年前の真実―。
何事にも積極的には関わろうとしない
“省エネ”少年・折木奉太郎は、
なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、
日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。

千反田えるが古典部に入った動機とは
幼い頃の伯父とのやりとりの核心部分を思い出したいということ。
伯父・関谷純が高校生で古典部所属だった三十三年前に
何があったか知ることが糸口になると考えている。

解決したかのように見えてからの展開が
おもしろかった。
この本のタイトルに読者である私は違和感を感じていた。
「氷菓」という言葉は日常的には使わないから。
読む前に感じたfirst impression すら
ストーリーに組み込まれていることに感嘆しました。
（…私の勝手な思いこみ？）
このタイトルに込められたものは、あまりに苦い。

古典部の部員が「カンヤ祭」という言葉を
使うことは決してないでしょう。

それにしてもホータローの姉ちゃんは
存在感がありますね＾＾
弟は揺さぶられ、灰色（？）からシフトしたようです。

氷菓 (角川スニーカー文庫)

• 作者: 米澤 穂信
• 出版社/メーカー: 角川書店
• 発売日: 2001/10
• メディア: 文庫

タグ：米澤穂信

コメント 5

古典部シリーズ、いいですよね！（＾＾）ｖ
省エネの奉太郎くんが特にお気に入りです。

高校生の部活動というシチュエーションも好きだけれど、私がこのシリーズにはまったのは、彼らの丁寧な言葉遣いに惹かれたからかもしれません。

『氷菓』で明らかになる過去の事件・・・。
あぁ、そういう時代だったのだなぁと考えさせられました。

これ、ドラマ化されないのかなぁ・・・とずっと思っているのですが・・・。
（＾＾；
★
米澤穂信の作品、全部を読んでいるわけではないのですが、『犬はどこだ』が印象に残っています。
ネット社会の怖さをこの作品で痛感しました。
by びっけ (2009-02-25 14:28) 

きのうジャックが、物事は記憶するはずだった。
だけど、ジャックが展開判断するつもりだった。
でも、存在された。
でも、ジャックは、シフトしないです。

by BlogPetのジャック (2009-02-25 16:12) 

＞びっけさん
女難の相がある奉太郎くん、いいですよね！
そうですね、言葉遣いがきれいです。
素っ気ないに近いほど簡潔な文章が好きです。
「犬はどこだ」
この作者のつけるタイトルはどうも私のアンテナに
ピッとこないんですよね。
だから今まで手に取らなかったのですが
損しました＾＾；
古典部シリーズのあとに読んでみます！
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2009-02-25 18:16) 

ジャックくん、何からシフトしないのかい？
by miyuco (2009-02-25 18:17) 

薔薇少女さん、nice!ありがとうございます♪
by miyuco (2009-03-14 13:21)