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『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ [読書]

多島斗志之「黒百合」の感想を読むと
たびたび引き合いにだされていたのが
乾くるみ「イニシエーション・ラブ」
期待大で読み始めました。

しかし…
趣味ぢゃなかった。

80年代を舞台に合コンで出会った男女が
つきあい始めていろいろあるといった
普通のラブストーリー。
ちっともおもしろくなくて読むのがつらかった。
けれども「どんでん返し」が待っているのだからと
がんばって読み続ける。
そしてお待ちかねのラスト。

…「ふ~ん」って感じ。
これだけのために組み立てられた物語は
どこにも魅力がない。
品がないなと思いました。
「黒百合」に絡めてこの本の名前を出すには
あまりに落差が大きすぎる。

以下、未読の方はご注意を


 

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マユの描き方は巧妙でした。

A面
合コンの席に薬指に指輪を嵌めてくるマユ
しかも誕生石「ルビーの指輪」
(寺尾聰の曲が大ヒットしたのは1981年)
どう考えたって彼氏がいるでしょう。
自分へのご褒美で買ったと言うあたり
二股かける気だなと疑ってしまう。
真面目な鈴木くんへのさり気ないアプローチも
計算高そうに思える。

何故、こんな風に考えるかと言うと…
こういう女子を何人も知っているから!
つきあっている男性が途切れることがないタイプ
平凡でちょっとかわいい女の子。
だから最初から色眼鏡で見ているわけで
ひねくれた読者でスイマセン

そんな視点で読み続けると分かってしまうことがあります。
「鈴木夕樹」という名前を「夕(ゆう)」がカタカナの「タ」に
似ているから「たっくん」と呼ぶなんてムリすぎるってば。

B面
引っ込み思案で奥手な「たっくん」が豹変。
都会の絵の具に染まってしまったのか?
(by木綿のハンカチーフ)
同一人物だったらかなりの性格破綻者だよね。

疲労感をうち払いこまめにマユの元に帰ろうとする
たっくんは健気です。
それに引き換えマユはなぜ東京に来ない?
あのキャラなら絶対に来るはずなのに。
行くわけないと後でわかる。
自分に都合のいい相手を見つけたんだから。

DV男より生真面目な男の方がいいよね。
イニシエーションラブ「通過儀礼の恋」
マユは二度目の恋愛だから扱いやすい彼を
手に入れる事ができたのかもしれない。
でも真面目な「たっくん」にとっては
マユとの恋愛こそがイニシエーションラブだったりして。
長続きするかどうかはわかんないよという
意地悪な見方もできるわけです。

登場人物が好きになれないと
意地悪な読み方しかできないのか、自分・・・

文庫版には80年代の解説が載っているそうです。
20代がそのまま80年代だった私には必要ないけどね。



イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)

イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)

  • 作者: 乾 くるみ
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2004/03
  • メディア: 単行本

 


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コメント 5

BlogPetのジャック

注意するの?
by BlogPetのジャック (2009-03-27 14:51) 

miyuco

ミステリーは注意深く疑い深く読まないと
おもしろくないよ^^
by miyuco (2009-03-27 23:32) 

miyuco

遊ぶ大人さん、nice!ありがとうございました♪
by miyuco (2009-04-01 23:36) 

みずしろ

初めまして、みずしろといいます。
私も同意見です。
期待して読んで損した感じでした(汗
by みずしろ (2010-08-18 17:19) 

miyuco

みずしろさん、はじめまして^^
この本、一時は話題になっていて
好評だったような記憶があったので
私も期待したのですが…
残念でした。
nice!とコメントありがとうございます!
by miyuco (2010-08-18 23:22) 

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