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『夏目友人帳』(1)(2) 緑川ゆき [コミック]

アニメ化されたことで初めてこの作品を知りました。
大好きな「百鬼夜行抄」に設定が似ているという印象。
きっと好み。
先日、やっと読むことができました。

読んでみると…
これほど心惹かれる作品とは思わなかった。
なんてせつなくて愛おしく温かい物語なんだろう。
あっという間に大ファンになってしまった^^

7巻一気に読もうと思っていたのですが
もったいないのでゆっくり読むことにしました。
泣けてしかたないので、周りの目を気にしながら
読まねばならないという理由もあります。
困ったもんです^^;

両親を亡くした少年・夏目には秘密が。
それは妖怪が見えること。
強い妖力を持っていた祖母・レイコの遺品である
妖怪たちとの契約書「友人帳」を手にして以来、
あやかしから狙われる羽目に。
自分の死後、友人帳を譲る約束をした
用心棒・ニャンコ先生と共に
妖怪達に名前を返す日々を送ることとなる。

夏目友人帳 ニャンコ先生和柄クッションカバー

 

<ニャンコ先生>

長い間まねき猫を依代(よりしろ)に
封印されていたので、結界から解放されても

体が形になれてしまっている(笑)
夏目の飼い猫として暮らしている。

本来はとても優美な姿(本人談)

酒好き。

 

夏目貴志は両親亡きあと親戚の家を転々としていた。
小さな頃からあやかしの類を見えてしまう夏目は
それゆえ周囲から気味悪がられ常に孤独だった。
(ここが「百鬼夜行抄」の律とは決定的に違います)

最近引き取ってくれた藤原夫妻は心やさしい人たち。
しかし夫妻の住むこの地は
かつて祖母・レイコが暮らしていた場所でもある。
妖怪たちは夏目にレイコの面影を見つけ接触してくる。
目的は「友人帳」

夏目にとって妖怪達は気味の悪いものでしかなかった。
自分の立場を危うくするもの。
しかし「友人帳」を手にし、
庇護者(?)であり妖怪との橋渡しでもあるニャンコ先生を得たこと、
そして妖怪を通して今は亡き祖母・レイコの思念に触れたことで
妖(あやかし)との関わり方が変化してくる。

レイコはなぜ「友人帳」と名付けたのか。
妖怪達を痛めつけて八つ当たりしていただけではなく
人間相手では手に入れることができない関係を
そこに見出していたのかもしれない。
彼女の孤独な心情が窺えてせつないです。

今まで人と関わってこなかった
(関わることを拒否されていた)夏目が
妖怪達を通して人間のさまざまな感情に出逢う。

人とあやかしは決定的に違う。
わかりあう事は難しい。
しかし、人と人もわかりあう事が難しいのは同じこと。
寄り添いたいと願う気持ちはあたたかく
きっと伝わると信じたい。
夏目の優しい気持ちが満ちている物語です。

 

 

「紙を銜え、手を強く打ち合わせ、集中し
ふっと息を吐く」

友人帳を銜え名前を返す刹那、流れ込んでくるもの
それは友人帳に残された妖怪の記憶
あるいは祖母の思念。
ずっと一人だった夏目は
同じくずっと一人だったレイコの思念に同調する。
だからこそ名前を返してもらおうとやってくる妖(あやかし)を
レイコの友人とみなし、誠実に対応しようとする。
このあたりの動機付け(という言葉は正しいかな?)が
説得力を持って物語を支えていると思います。

【一巻】第二話「露神」
「君は私の友人だ」
と言われたときの夏目の表情。
きっと生まれて初めて「友人」と呼ばれたんでしょうね。
一瞬、とまどったような顔をする夏目の心情が
伝わってきて、泣けました。
このあと心がゆっくりとあたたかくなってきた事でしょう。

第三話「夏目、人間退治」
妖怪達はしたたかです^^;
でもお礼を持ってくるところがかわいい。
夏目は自分と同じようにあやかしの気配を感じる
人間に会えました。いいヤツでよかったね。

第四話「ダム底の燕」
ううっ、なんて一途でかわいいんだ、燕…
会いたかった人物に寄り添う
あまりに幸福そうな顔思わず涙でした。

【二巻】第五話「旧校舎の怪」
妖(あやかし)に救われたというクラスメイトの笹田
感謝する気持ちが
今度はあやかしを救ったのかもしれない。
ニャンコ先生の男前な女装姿がすてきっ!

第六話「夏目、妖(あやかし)を呼び出す」
夏目がどれだけ今の養い親を
大切に思っているのかよくわかりました。
でも、彼らが夏目を大切に思っていることも
忘れないで。
男嫌いのヒノエはいいヤツですね^^

第七話「見える人」
きらめいている(笑)名取周一が登場
同じように妖怪達が見えるが
夏目とはスタンスが違う。
違和感を抱きながらも拒否しないのは
名取の苦さを知ったから。
「あいかわらずの妖(あやかし)が見える日々
けれど僕も皆と同じ
人の心は今日も見えない」
「いつか 見てやるぞと目を凝らす日々。」

そう、わかりあえないのは皆同じです。
「あやかしが見えるから」だけではない。
夏目は変わりましたね。

第八話「アサギの琴」
こういう話は大好きです。
情感豊かで儚く美しい。
木原敏江「夢の碑シリーズ」を思い出します。

アサギとアカガネの物語。
夏目は傍観者として手を貸すだけです。

高貴な妖(かみ)が集うまぼろしの郷、磯月の森に
「アサギ」という美しき蒼琴弾きがいた。
花のあふれる磯月の森
壬生様の御前で、幸せそうに楽を奏でていた。

しかし体が土のように崩れていく病のため
楽を奏でることもできなくなる。
逃げるように森を去った。

傘持ちのアカガネは幸せそうに笑うアサギを
見ているだけで幸せだったのでしょう。
弱っていくアサギに最後にもう一度だけ
壬生様の前で琴を弾かせてやりたいという
アカガネの願い。
アサギの指はもう三本しか残っていない。

やっと楽器ができた。
アサギは弾きたいと言う。
でもそれは憧れていた壬生様のためではなかった。
「優しくて、大切な友人のため」

余韻を残す終わり方もとてもよかったです。
泣けました。

TV東京系で再放送が始まってます。
月曜日に第一話を見ましたが
丁寧な作り方がうれしかった。
来週は「露神」
ああもう、また涙ですわ【T__T】


 

夏目友人帳 (1) (花とゆめCOMICS (2842))

夏目友人帳 (1) (花とゆめCOMICS (2842))

  • 作者: 緑川 ゆき
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2005/10/05
  • メディア: コミック

近場の本屋を何軒も回ったのに
一巻だけすべて売り切れだった。
すごい人気なんですね。
読めばその理由がよくわかりますけれど^^

 


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コメント 5

miyuco

ミナモちゃん、nice!ありがとうございます♪
by miyuco (2009-04-11 21:58) 

おきざりスゥ。

おかげさまで<露神>みました~
もうネ最近ちっともマンガ読みぢゃなくて情報はmiyucoサン頼り。
厚い信頼よせてますから!ぃゃホント。
露神様が話していた妖から神様になった経緯は常日頃かんがえていたことと一緒なので我が意を得たりとニンマリ。
日本のアニミズムや多神教ゆるい信仰心が大すきなのです。
忘れないよう続けて視て原作も読みますネ♪

by おきざりスゥ。 (2009-04-13 18:29) 

tommy

突然のコメント申し訳ありません。
映画『アフタースクール』の日記にコメントをさせて頂いたのですが
読んで頂けますでしょうか。
映画の内容に関してどうしてもわからないことがありまして、
質問させて頂いたのですが・・・。
もしお答え頂けると嬉しく思います。
場違いなコメント失礼いたました。
by tommy (2009-04-15 01:00) 

miyuco

>スゥ。さん
私もマンガ事情には疎くなってしまいました【T__T】
アニメ化されて初めてこんな作品があったんだと
気がつくような次第でございます。
若い作家さんが作品とともに成長しているのを見ると
とても嬉しくなります。
マンガ読みのはしくれでよかったと思います^^
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2009-04-15 13:23) 

miyuco

tommyさん、了解( ̄^ ̄ゞ
by miyuco (2009-04-15 14:03) 

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