『刑事一代・平塚八兵衛の昭和事件史』

６／２０、２１日と２夜連続で放送されたドラマスペシャル。
録画していたのですがちょっと見たら目が離せなくなり
結局リアルタイムで見てしまいました。
画面から濃密な空気が迫ってくるようでした。
おもしろかった！

「３億円事件」や「吉展（よしのぶ）ちゃん誘拐事件」など、
昭和の数々の大事件を手がけた警視庁捜査１課の名刑事、
平塚八兵衛を渡辺謙が演じます。

渡辺謙ってすごい役者さんなんですね（←いまごろ？）
どういうわけかオーバーアクトという印象があり
興味を持てない俳優さんだったのですが
遅ればせながら今回初めてその力量の素晴らしさを
知ることができました。
変な先入観、よくないことでした。

八兵衛とコンビを組む石崎刑事を演じる高橋克実
とてもよかった。
渡辺謙を相手に一歩も引いてなかった。

このドラマのクライマックスは
小原保（「吉展ちゃん誘拐事件」の容疑者）を
取り調べる１０日間の攻防でした。

萩原聖人の演技も見応えがありました。
ふてぶてしくしたたかでありながら、不安にゆれ動く。
どこか憎めないところがある男。

事件から二年を費やしても逮捕できる決定的なものが
見つからない。
容疑者はボロを出さず追求を逃れようと必死です。
自由になるまであと少し。
取り調べる刑事たちにとってもこれが最後と背水の陣。
火花を散らすようなシーンが続く。

「罪を認めて真っ当な真人間になることだけが
おまえに残された道なんだよ」

茨木弁の朴訥さが柔らかく響いて心に残ります。
ガンガン責め立てるだけではなく
最後の最後に噛んで含めるように語りかける。
渡辺謙の演技は凄かった。
受ける萩原聖人も見事でした。
両者とも役者冥利につきたのではないでしょうか。


平塚・石崎・山本耕史演じる草間刑事と小原保
狭い取調室にいる４人だけのシーンが続いても
単調にはならず緊張感が持続する。
見ているこちらまで息をのんで画面に釘付けになる。
取調室と留置場の廊下を歩く小原の
足をひきづるカンカンという音が耳に残ります。

演出を手がけた石橋冠は１９３６年（昭和１１年）生まれ
このドラマで扱った事件の報道をリアルタイムで
見ていた世代です。
昭和を生きてきた人にしか再現できない
時代の息づかいのようなものがあるのだなと思いました。
クラシカルな面構えの役者さんを揃えたキャスティングが
見事にはまってました。（「点と線」と同じように）

渡辺謙は石橋冠が演出した「点と線」を見て
この監督と一緒に仕事をしたいと望んだそうです。
視聴率もよかったようですし、一流の役者を揃えた
こういう重量級のドラマをまた見せていただきたいです。

私が「平塚八兵衛」の名前を知ったのは
「３時にあいましょう」に出演しているのを見たとき。
「名刑事」だった方と紹介されていましたが
いかつい雰囲気ではありませんでした。
でも眼光鋭かった＾＾；
退職されて４年後に６６歳で亡くなりました。
こんなに早く亡くなってしまうなんてと
びっくりしたのを覚えています。

泉谷しげるが小原保を演じたドラマも当時見ました。
１９７９年「戦後最大の誘拐 吉展ちゃん事件」
もう３０年前？！
泉谷の小原も妙に人懐こくて憎めなかったな。



 

コメント 4

高橋さんが大好きなワタシ、とても良かったですね。
渡辺さん、こんな演技もできるのかー、と改めて俳優さんの凄さを見ました。俳優さんみんなで作り上げている、という感じが伝わってきたいいドラマでした。

翌朝、小学生たちがこのドラマの話をずーーっとしていたのにビックリ(笑)　わかるんですよね、いいものは。
by 松matsu (2009-07-05 11:54) 

＞松matsu先生
カツミさん、すごく凛々しかったです！
渡辺謙と高橋克実のコンビは
高倉健と小林稔侍に匹敵する雰囲気を
持っているなと思いながら見てました。
隅々までゆきとどいているドラマでしたよね。
nice!とコメントありがとうございました。

なんてかわゆい小学生たち ＾＾
by miyuco (2009-07-06 14:02) 

保の母の手紙が感動しました。
「先に地獄さ行って待ってるから」という言葉が
今だに心に残ってます。

by りんごとう (2015-12-18 01:09) 

りんごとうさま、コメントありがとうございます！
放送されてから六年もたってるんですね。
心に残るドラマでした。

by miyuco (2015-12-20 20:59)