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ころころろ 畠中恵 [読書]

大好きなしゃばけシリーズ第8弾
今回は「妖(あやかし)」と「神」がメインであり
餡子をつくるのが苦手な菓子屋の跡取り息子・栄吉さんや
真っ直ぐな気性の紅白粉問屋、一色屋のお雛ちゃんのような
魅力的な人物が出てこなくてちょっと寂しい。

妖のレギュラー陣が物語を動かし、大活躍。
仁吉と佐助が主人公となる短編があるのは嬉しい限りです。

ある朝目覚めたら若だんなの目が見えなくなっていた。
いったいなぜ?どうしたら見えるようになる?
若だんなを守ることを使命としている仁吉と佐助は
あらゆる手段を使い、一太郎の目の光を取り戻そうとする。

「はじめての」
一太郎が齢十二のときのお話
ここに出てくる母と娘の関係は現代でも起こりがちな
難しい問題です。
母にも親身になってくれる人がいると確信しているから
娘は決断できたのでしょうね。
若だんなの自覚なきほのかな恋心がかわいい。


「ほねぬすびと」
若だんなの目が見えなくなった。
しかし目を患った様子がない。
その頃、長崎屋は武家の客人の頼み事を
渋々引き受ける羽目に陥っていた。
何度も失敗している荷の運搬を
今度ばかりはしくじるわけにはいかないと
頭を下げられては無下に断るわけにはいかない。
伊勢の国から無事に干物は届くが
そこで思わぬアクシデントが…

若だんなの聡明さは目が見えなくなっても
かわりません。音に敏感になったことが解決の手がかりになりました。
名前だけしか出てきませんでしたが
黒幕とも言える岩崎の息子・藤九郎の存在が
気になります。
一太郎と藤九郎の知恵比べのようでしたから。

「ころころろ」
目の神たる生目神が若だんなの目の光を
奪ったのだとわかった。
玉をなくしたので探していると若だんなの目をのぞき
見たことがあると言って持っていってしまったのだ。
一太郎は過去に生目社をめぐる一件に関わっていた。
玉を見つけることが生目神への道筋につながるのではと
仁吉と佐助は手がかりを探し続ける。
「若だんな、仁吉さん今、面白いこと、なってる」
鳴家(やなり)の報告通り仁吉はやっかいな事態に。

若だんなだけ無事ならば他はどうなってもいいと
思っているような仁吉だけれど、本当はやさしいのね。
「ああ、若だんなの目を治す薬を探したい。
いつもの離れへ戻りたい」
と嘆きながらも頼ってくる者たちを振り払えない。
「みんな、仁吉と佐助の話ばかりしてます」
姿を見せないふたりを心配する若だんなからの文を
じっと見つめ大事そうに畳み懐に入れる。
さて仁吉さんはうまくこの状況を
切り抜けられるのでしょうか。

「けじあり」
こちらは佐助さんの奮闘記。
自分が何者か忘れても
緑色の縞模様の着物を着た人を忘れたりしない。
お世話する人がいたという記憶は消えない。
とらわれていたおたきを救ったのは
若だんなと暮らした長崎屋での日々で
身につけたものでした。
鳴家もいい働きをしましたね。

「物語のつづき」
生目神との問答による直接対決です。
物語のつづきを当てなければならない。
碁仲間の貧乏神からいろいろと珍しい話を
聞いている若だんなは有利です。
生目神のつまびらかにできない思いに気づき
人ではない神ゆえに思いつかないことを
一太郎は口にする。
せつない結末ではあるけれど誤解は解けるかもしれない。
さて、一太郎の目は返してもらえるのでしょうか。

人と人ではないものの時の流れの違いが引き起こす残酷さを
「黄金の羅針盤」の魔女・セラフィナも嘆いていましたね。
儚い身の上の人として一太郎も思うところがあるのでしょう。

「神用獲り罠」には笑っちゃったな^^

ころころろ

ころころろ

  • 作者: 畠中 恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/07/30
  • メディア: 単行本
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タグ:畠中恵
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miyuco

ダーツマニアさん、nice!ありがとうございます。
by miyuco (2009-10-24 21:07) 

miyuco

末尾ルコ(アルベール)さん、nice!ありがとうございます。

by miyuco (2009-10-24 21:08) 

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