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『フリーター、家を買う。』 有川浩 [読書]

ダメダメな若者が成長していく物語は大好きです。
後味のいい読後感。
これからも続く登場人物たちの人生に
希望が垣間見えるような終わり方でした。
お母さん、これからはあまり無理しないで下さいね。

近隣住人との長年にわたる軋轢から
心を病んでしまった母親を「引っ越し」によって救うため
フリーターが家を買おうと一念発起する。
家を買うにはお金がいる。まずは就職活動から。

原因はご近所さんからのいじめであっても
母の病の直接の引き金は父と息子の冷戦による
ギスギスした家庭内の空気。
(冷戦の原因はもちろん息子・誠治の自堕落生活)
そして父と息子の母への無関心。
家族を守るために心が壊れるまで耐えたのに
この仕打ちはなんなのよヽ(`⌒´)ノ
と、姉の亜矢子と同じように私も腹わたが煮えくりかえった。
あまりにお母さんが不憫ではないですか。

そんな亜矢子の怒りとくやしさが
父と弟にはいまひとつ切実に伝わらないまま
事態は深刻化していくばかり。
やっと誠治の目が覚める。
母を死なせるわけにはいかない。

目標:就職する。
    金を貯める(当座の目標、百万)


主人公のフリーター・武誠治は
どこからみても我慢の足りないアマちゃんなのに
本人はそう思っていない。
大学卒業後入社した会社に違和感を抱き
三ヶ月ほどで辞めてしまった誠治。

ここは俺の場所じゃない。
俺はスタート位置を間違えた。
スタート位置さえ間違わなければ、
あんなドン引きの研修をする会社にさえ入らなければ、
俺は評価されて然るべきだった。

…ああなんてよくある「見解」なんでしょう。
ナサケナイ
二度目の就活はうまくいかずバイトを始める。
嫌なことがあればすぐ辞めて次のバイトを探す。
就職活動に比べてバイトは気楽でいい。
気楽すぎて母の異変に気づかない。
「クソ親父といいあんたといい、
この家の男はみんなお大尽か?」
嫁ぎ先が遠く、母のそばにいてあげられない亜矢子が
舌鋒鋭く母を放置した父と弟を糾弾する。
しかし母にとっては一緒に暮らす父と弟
家族こそが何より大事なものなのだ。
亜矢子が泣きたくなる気持ちがよくわかる。

誠治が母のそして亜矢子の気持ちを理解し
自分のやるべき事が何なのかわかったとき
思わぬ所から事態は動き出す。

夜間の道路工事のバイトで出会ったのは
気のいいおじさんたち。
有川浩が描く愛すべき中高年のおいちゃんたちが
大好きです^^

「お前の親父は手強いぞ。
けんど、プライドの高い男は扱いやすいところもある。
上手に扱え」
「積み木がいっこ積めたら、
今度はご褒美が要るだろうがよ」

 

 

 

ご褒美。
父親に就職のアドバイスをお願いすること。
父とコミュニケーションをとることが
家庭内の空気を和らげ
母の気持ちを安定させる。
つまらない意地やプライドはしまいこむ。
誠治は変わりました。

就職したあとの誠治はちょっと有能すぎるかな^^;
覚悟を決め腹をくくったことはよく伝わってきます。

「母親が力尽きる前に気づけなかった。」
壊れる前に救えたのかもしれないのに
間に合わなかった。
誠治はそれを激しく後悔している。
そんな誠治に真奈実の言葉はやさしい。

ダメ親父が最後にいいところを見せる。
親は子供を縛りつけるべきではない。
子供が幸せでいてくれる事が母にとっても幸せに繋がるはず。
母の20年に及ぶ闘いを無駄にしてはならない。
だから誠治は自分の幸せを考えていいんだよ。
作者・有川浩の細やかな目配りが温かいです。

書き下ろしの「after hours」
豊川はいいヤツだ^^

*
*
*

誠治の父親の就職アドバイス「履歴書編」
修正液はだめ。
返送された履歴書の使い回しなんて絶対だめ。
基本的なことなので教えてもらえない人もいるのかな。
送られてくる履歴書を見ているだけで
これはちょっとという印象を受けるものがある。
たかが履歴書ですが
けっこうわかってしまうのですよ。
あなどるなかれ。

フリーター、家を買う。

フリーター、家を買う。

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/08
  • メディア: 単行本


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miyuco

ミナモちゃん、nice!ありがとう!
by miyuco (2009-11-14 18:40) 

miyuco

あきんたんさん、nice!ありがとうございます^^
by miyuco (2009-11-14 18:40) 

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