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『デパートへ行こう』 真保裕一 [読書]

明かりの消えた深夜のデパートのあちこちに
蠢く人の気配。
不穏な空気が流れ出し 静かに騒ぎが始まった。

「夜通しのカーニバルでも催されているみたいだった。」
創業百年祭の最終日を明日に控えたこの日。
それぞれに思惑を抱えた人々が
デパートで一晩を過ごそうと集まってくる。
カオスな一夜の物語。

同時刻、とある場所に事情を抱えた人物たちが
偶然にも集まってしまったがために引き起こされる
予想外の事態。
どうしても恩田陸の「ドミノ」を思い出してしまいます。
しかし本作に登場する人たちはあれほど破天荒ではない。
ゆえにカオスも小粒です^^;
それでも最終的に収斂していく様子が楽しい。

仕事も住む場所もない50歳の男性・加治川英人
デパート店員・山添真穂
家出中の十代男女・コージとユカ
社長・矢野純太郎
大けがを負いながら追われる男・塚原仁士
美術・宝飾部門のゼネラル・マネージャー・笹岡祐也

冒頭から登場人物が入れ替わり立ち替わり自分を語っていく。
それがどうにもつかみ所がなくておもしろくない。
何かが始まるわくわく感を感じることができない。
さて、どうしようか。挫折しそうと思っていたところに
60ページで出てきました。私の大好きなタイプ^^
職歴49年を誇る警備員・半田良作(67歳)
本店の生き字引とも言える伝説の警備員が
閉店間際の正面口に陣取るヤクザ者を
事を荒立てずに華麗に退けます。
かっこいい!

物語が進むにつれ、登場人物たちの背景が
明らかになります。
だからこそ当初はあいまいな紹介にとどめ
人物像がぼやけて見えたのでしょう。
謎を残し、徐々にそれが明らかになるように
構成するためのテクニックだとしても
それがために印象付けが弱くなってしまって
大勢いる登場人物たちに感情移入できないのならば
小出しにするさじ加減が間違っているということになります。
もう少しうまくやっていただきたかった。

混迷する夜が明けて事態は危険な様相に。
しかしやはり最後もリョウさんがかっさらっていきます。

職務を全うし、大活躍の半田良作さんに、
サプライズが用意されてました。
本店にとどまったのはそういう理由があったからなのね。

グランドフィナーレはこうあるべきです^^
赤羽信と真穂もきっとうまくいくはず。

過去の過ちを悔い
太って醜い体になるべきだと自分を責め
罪をつぐなうためにも
デパートを守らなければと考える赤羽信くん。
どうかお幸せに。

デパートへ行こう!

デパートへ行こう!

  • 作者: 真保 裕一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/26
  • メディア: 単行本




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