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映画 『ゴールデンスランバー』 [日本映画]

『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』に続き
中村義洋監督が伊坂幸太郎の作品を映画化。

原作が大好きなのですが映画もとてもよかった。
作者と映画監督の相性がいいのですね。
おもしろかった!

首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の逃避行劇。
しかしひとりだけの力では逃げつづけることなどできない。
誰に助けを求める?

逃げる男・青柳の知らないところで
助けようとする人たちが動き出す。

「人間の最大の武器は何だか知ってるか」
「習慣と信頼だ」

青柳は「信頼」することで知らず知らずのうちに
道を拓いていく。
過去に青柳を知っていた人たちは「習慣」から
無実を確信している。

人と人は繋がっている。
いつもは意識の底にひそんでいて忘れそうになるけれど
何かの拍子に姿をあらわす「つながり」
孤立無援の戦いを強いられている状況で読んだメモのひとこと。
どれだけ救われたことだろう。
ひとりではない。

花火がきれいでした。
映画ならではの派手な見せ場だった。

堺雅人が演じた青柳の表情
文章で読んだときよりもスクリーンで青柳を見たときの方が
「信頼」する男が逃げ延びた理由に納得できました。
まさに適役だったと思う。

森田と待ち合わせる場所に現れた青柳が
あまりにのんきな顔をしていて
それを見た森田が何とも言えない表情をする。
その意味を知っていたので
胸がしめつけられるような気持ちになりました。
堺雅人のいかにも人のよさそうな表情が
この場面にぴったりだった。
(ここで流れる音楽がのどかな曲調で
「My Sweet Lord」にちょっと似ている)

配役がとてもよかったです。
青柳のお父さんを演じる伊東四朗、かっこよかった!
車椅子の男・柄本明、怪しげですてき。
花火師・ベンガル、飄々としてました。
竹内結子はきれいだった。
シーマンのセリフで別れを切り出しても
違和感のない女優さんですね。どこか男前っぽい。

永島敏行のヒットマン
殺人者キルオの濱田岳
特殊なキャラクターをきっちりと演じてくれると楽しい。


以下、映画の核心に触れるかもしれないので
まだご覧になっていない方はご注意を…

 

*
*
*

原作で一番好きだったシーンは
「だと思った」
活字で読んだときのほうがインパクト大でした。
「習慣と信頼」の「習慣」にまつわる話が
映画では原作より少なくなっていた。
青柳が嵌められていると確信する根拠は
他にもあったのだけど。

「ipod」のくだりは映画オリジナル
かつての仲間であった森田が
青柳をバックアップするネットワークの一員に
含まれているのだと暗示するかのようでした。
裏切り者としての森田に救いをもたせた
監督の計らいが私は嬉しかった。

映画を見た人はどうか原作も読んでみてください。

「たいへんよくできました」
監督の手にスタンプを押したいと思ったのは
私だけではないと思います。

「ゴールデンスランバー」を読んだ感想は
こちらに書いています。

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タグ:伊坂幸太郎
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コメント 8

リュカ

こんばんは^^
伊坂さん、この作品も映画化されていたのですね。
『ゴールデンスランバー』原作は積読中です^^;

小説の映像化はなかなか難しいものがありますが、
この映画は上手く行っているようですね^^
原作を読んでから観た方がいいでしょうか。
観たい映画が増えました^^
by リュカ (2010-02-06 19:45) 

ミナモ

う・・わぁぁ、映画版ゴールデンスランバー観られたんですね!
わたし、迷って迷って結局今週観に行かなかったんですけど、もうmiyucoさんの記事読んだら無性に観たくてたまらなくなりました!!
来週、行けるか調整かけてみます^^
by ミナモ (2010-02-06 22:05) 

miyuco

>リュカさん
私は原作が大好きなので
映画がイメージを裏切らないつくりになっていて
とても嬉しかったです^^
本を読んでから観たほうが楽しめるかな。
映画もぜひご覧になってくださいませ。
オススメです!
nice!とコメントありがとうございます♪

by miyuco (2010-02-07 22:56) 

miyuco

>ミナモちゃん
原作大好きな人は絶対に観た方がいいですよ!
本と映画で補完しあっているような感じでした。
こんなふうに映画化されて
幸福な作品だなと思いました^^
nice!とコメントありがとうございます♪
by miyuco (2010-02-07 23:00) 

秋桜

こんにちは。カーペンターズ絡みではないところへのコメントでははじめまして、ですね。自分の好きなキーワードを入力して、こちらのブログ内で検索してやってきました。

 『ゴールデンスランバー』観ました、そして、泣きました。配役がおっしゃる通り、とてもいい。他にも、森田役の吉岡君、カズ役のひとりさん、児島役のでんでんさん、お母さん役の木内さん、どれもこれも、ぴったりでした。
 そして、昨日深夜、一気に原作を読みました。こんなこと(映画を見て、原作が気になったこと)は初めてでした。どちらもなんて良く出来ているのでしょう。原作を読み、さらに映画がわかった部分もあったり。
 樋口さんと旦那さんの関係、案外いいんじゃない、とかですね。これは嬉しかったな。映画ではわからなかったから。
 久々に夢中になって本を読みました。

 ちなみに、私は、ユーミンも小田和正も好きで、コンサートにもちょくちょく足を運んでいます。『博士の愛した数式』、大好きです。検索してヒットするところ、どんどん読ませていただいています。また、別のところでもコメントさせていただくと思いますので、その時にはよろしくお願いします。
 
by 秋桜 (2012-03-07 08:51) 

miyuco

秋桜 さん、こんにちは。
伊坂作品を映画化したものは
どれも大きくはずすことがなく、
原作ファンの私はとてもうれしいです。
配役、本当にぴったりでしたよね^^

伊坂さんの新刊が最近出たので
図書館で順番が回ってくるのを
楽しみにしているところです。
コメントありがとうございました!
by miyuco (2012-03-15 18:50) 

秋桜

miyucoさん。お久しぶりです。お詫びしたくて。
どうしたら、いいでしょう。

久しぶりにこちらにお邪魔して、あれ、っとなって、
過去記事、色々検索していて、驚きました。
なんとか繋がることが出来ないかな、と思い、関係のないコメントになっていますが、お許しください。

貼り付けられていたのは、
miyucoさんではなく、私の残したコメントのことなのに…。
本当にごめんなさい。

ちなみに、その後、チルドレンとか、モダンタイムスとか、読んでいます。すっかりPCから遠ざかっていたのです。

どうぞ、このコメントを承認しなくても構いませんので…。
お詫びの気持ちだけ、伝えたいのです。
ご迷惑をおかけし、本当に申し訳ありませんでした。
by 秋桜 (2012-07-03 23:49) 

miyuco

秋桜さん、こんにちは。
お気づかいありがとうございます^^

カーペンターズのエントリーは
なぜか検索上位になってしまうみたいで
アクセス数が多いのですが
私としてはそれほど内容に自信があるわけではなく
ちょっと“重い”なと常々感じていたので
いったん引込めました。
古い記事だし役目も果たしたと思っているし。
google先生に見つからないようになったら
また復活するつもりです☆
ご心配おかけして申し訳ありませんでした。
by miyuco (2012-07-04 17:58) 

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