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『ひまわり事件』 荻原浩 [読書]

隣接する老人ホーム「ひまわり苑」と「ひまわり幼稚園」。
老人とガキどもの不思議な交流。
やがて起こるカゲキな「事件」とは?
勇気あふれる熱血幼老物語。
『別册文藝春秋』連載を加筆・訂正し単行本化。

隔月刊の雑誌を手に取って読む場合には
気楽で楽しい話だったと思う。
しかし、一冊の本にまとまったものを読むと
物語が大きく動き出すまでの
エピソードの積み重ねを長いと感じてしまった。

最後のほうにカタルシス投入
原動力になったのは秘めたる思い
硬派で、しかもロマンチック

「やだな。ジジババ。
きっと自分たちとは違う生き物なんだ。」
「ああ、嫌だ。子どもは嫌いだ。
無自覚に、無駄に、「生」をふりまくばかりの生き物だ。」

成り行きで始まった「交流」
ジェネレーションギャップを埋めようと
無理して歩みよるわけでもなく
わがままな年寄りたちとわがままな幼稚園児たちが
ありのままの姿で一緒にいる。
かみ合わないやりとりが続くけれど
いままでにはなかったお互いへの感情が
徐々に生まれてきたようです。

なかなか思ったことを口に出して表現できない晴也は
ふだん、子どもと接していない70代の誠次から見れば
少々おつむの足りない子どもに見えているけれど
実際は小さい頭のなかでいろいろ考えていて
でもなかなか言葉にできないわけです。
そこら辺が丁寧に描かれていました。
昔の我が子を思い出して、なんだか懐かしかった。

なめんなよ!とばかりに立ち上がるジジババたちが
かっこよかったです。

晴也くん、もうちょっと早く
約束を思い出したらよかったね。
幼稚園の頃のことを覚えているってことが
奇跡的なのかもしれないけど。


ひまわり事件

ひまわり事件

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/11/13
  • メディア: 単行本

晴也の母の登場シーンはびっくり。
こういうサプライズの入れ方が上手いですね。


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