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『キケン』 有川浩 [読書]

成南電気工科大学機械制御研究部
略称【機研】
しかし、この略称が部にまつわる様々な事件から、
ある種の畏怖や慄き(おののき)を持って名付けられたことは、
機研黄金期の在校生には広く有名だった。
機研(キケン)=危険。
その黄金期。【機研】は正しく危険人物に率いられた
危険集団であった。
                   ……序文より

新入生・元山高彦と池谷悟が掲示板に貼られた
【機械制御研究部】の勧誘チラシを見ていると
人懐こい笑みを浮かべた上級生らしき男子に
「部室に遊びに来ない?」と誘われた。
それが部長である危険人物・上野直也だった。

おもしろかった。そして和みました。
理系男子たちの楽しく危険なエピソード。
女が出てくると(大神の悲劇の話)つまんないです。

【機研】のツートップ、部長は上野
副部長は大神宏明。そこに新入生が加わり
学内一の快適空間が売りの部室を根城に
「本気で遊ぶ」がモットーの【機研】の活動が
繰り広げられます。

「かやく」大好き上野のキャラが強力です^^
大神の肝の据わった迫力あるたたずまいが
上野とのコンビの絶妙のバランスをとってます。
お見事な猛獣つかいっぷりです。

「学祭」が楽しそうでした。
「お店の子」の面目躍如だったわね。

元山が妻に学生時代の思い出話を聞かせている
という体裁になっていることが後からわかります。
「もっと色々聞かせてよ」と彼女にねだられて
話はつづいていく。
(元山はいい奥さんをもらいましたね)
楽しそうに聞いている彼女が
成南大の学祭りに行きたくなっちゃったと言う。

…このあたりまで読んできて
有川浩のことだから、このあときっと
グッとくる場面が用意してあるんだろうなと
予想していたのに、予想以上のものがきてしまいました。
あの見開き2ページは反則ではないですか^^

【機研】の楽しかった時間から
あまりにも遠くはなれてしまった。
時間が経過していろいろなものが変化しているのを
実感するのが怖くてさびしくて、戻ってくることをためらっている。
元山の気持ちがとてもよく理解できたから
ページをめくったとたん目に入ったデカイ文字に
ジーンとしてしまいました。
お店の子をきにかけている文字にも。

「その時代は消えない。」
宝物を持った元山は幸せ者です。
同じ気持ちを抱いているであろう仲間たちも。

元山は【機研】に還っていきました。

キケン

キケン

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/01/21
  • メディア: 単行本


タグ:有川浩
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