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『七人の敵がいる』 加納朋子 [読書]

子どもを持つ親が経験せざるを得ない「PTA活動」
リアルに描かれています。
息子たちが幼稚園、小・中学校の頃の
役員でのトラウマがよみがえってきたほど(;_;)

自分の過去を振り返ると苦い思い出が山ほどあります。
能力もないのに「長」のつく役になってしまったり…
忘れてしまいたいことの方が多かったけれど
PTAで知り合ったお母さんたちのネットワークに
助けられたこともあったので
悪いことばかりではなかった。
でも…もう二度とあの世界に足を踏み入れたくない
というのが本音でございます。

以上、自分語り終了^^;
この本を読んだお母さんたちは
いろいろと語りたくなること間違いなしですわ。

「物書きとして、
何とも不思議な世界を体験しちゃったら、
そりゃあ書かずにはいられないわという…」

作者はあとがきにこんなふうに書いています。
確かに「不思議な世界」です^^


バリバリ働く編集者・陽子は仕事と育児を
なんとか両立させてきた。
一人息子の小学校入学で少しは楽になるかと
考えていたが、甘かった。
そこで待ちかまえていたのは「PTA活動」
「子どものために」を旗印にした強制ボランティアの世界。

陽子さんは有能な職業婦人ですが
PTAに関してはどうもうまくやれないみたい。
波風たてたくない人が多い場合の立ち回り方とか
場の雰囲気にふさわしいやんわりした言い方とか
苦手なようです。
というよりもビジネス以外で「場の雰囲気」を読むなんてことが
これほどまでに重要だとは考えもしなかった様子。
こんなメンドクサイ世界が待っているとは
想像もしなかったでしょうね。

「女は察して欲しい生き物で、不満があっても
直接相手にはなかなか言わない生き物で」

正論で相手を追い詰めていくタイプであり
あらゆるものをなぎ倒して前に突き進んでいく
ブルドーザーのような女と評された陽子は
羊の群れから見たら狼のようであり
異分子として敵対視されやすい存在です。
「だってライオンはシマウマの群れの中では
暮らしていけないもの。」

私は陽子さんが好き。
面倒なことには関わりたくないと
学校に顔も出さない人だっているけれど
しかし陽子さんにはそれはできない。
息子の陽介の扱いが少しでも悪くなるような事態は
何としても避けたいと思っている。
(結果として逆効果になることもあったけど)
子どもを心から愛していることが伝わってくる。

「サッカー少年団」に入りたいと陽介が言ったとき
うわ~っ!そこに近づいちゃダメ!
と陽子さんに忠告したかった。
結果は…やっぱり無理でしたね。

危険な先生。
現実にはもっとひどいケースがあるようです。
こんな風に子どもに笑顔を取り戻すことができれば
いいのだけれど。
「子どもを人質にとられている」からと言って
手をこまねいてばかりはいられない。
言うべきことはきちんと発言しないと
取り返しのつかないことになってしまいます。
でも、その方法が難しいわけで…

エピローグはちょっと現実離れしすぎていて
「?」という感じが残る。
でも、おもしろかった!
敵ばかりではなかったね、陽子さん。

加納朋子さんの作品はちょっと敬遠していた。
「日常の謎」っぽいものに飽きかけていた頃に
出会ったというタイミングが悪すぎたのが原因です。
たいへん失礼しました。
これから少しづつ読んでみようと思います。

七人の敵がいる

七人の敵がいる

  • 作者: 加納 朋子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/06/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


タグ:加納朋子
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コメント 3

miyuco

ヒロさん、nice!ありがとうございます!

by miyuco (2010-07-30 18:38) 

藍色

かなり面白かったです。
恋愛ものでなくとも、こういう作品こそ、大人の女性に向けたものだと思います。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
by 藍色 (2013-02-05 15:52) 

miyuco

藍色さん、TBとコメントありがとうございます。
作者の実体験に基づいている内容なので
リアリティあふれる作品に仕上がっていて
とてもおもしろかったです。
by miyuco (2013-02-07 21:46) 

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