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『蝦蟇倉市事件 1 』 [読書]

五編からなるアンソロジー
伊坂幸太郎と道尾秀介の作品は読んだことがあります。
あとの三名は名前すら知らなかったけれど(失礼)
おもしろかったです。
福田栄一「大黒天」がお気に入り^^

海と山に囲まれた、風光明媚な街、蝦蟇倉(がまくら)。
この街ではなぜか年間平均十五件もの
不可能犯罪が起こるという。
自殺の名所に、怪しげな新興宗教や謎の相談屋。
不可能犯罪専門の刑事や、とんでもない市長、
そして無価値な置物を要求する脅迫者―。
様々な不可思議に包まれた街・蝦蟇倉へようこそ!
今注目の作家たちが、全員で作り上げた架空の街を舞台に描く、
超豪華競作アンソロジー第一弾。 (「BOOK」データベースより)

【弓投げの崖を見てはいけない】道尾秀介
ひねりがきいてます。おもしろい!
しかしバッドエンディング。
…と思ったらもうひとひねり(作者の意図ではないけど)
初版には派手な誤植がありました。
そうするとエンディングが変わってくるわけで…
う~む。

【浜田青年ホントスカ】伊坂幸太郎
ヘンな題名。
奇妙でどこか違和感がある内容。
ちょっと怖いテイストが残るラスト。
最後は「弓投げの崖」に寄っていくの?
そこに寄ると何かが起こってしまわない?

【不可能犯罪係自身の事件】大山誠一郎
若干不可能すぎるのでは…
特に十年前の殺人を成功させるのは
難しいと思うのですが。

【大黒天】福田栄一
和菓子屋の店先に開店当時から飾られていた
「大黒様」
しかしそれは祖父によって盗み出されたものであるという
元の持ち主に依頼され返却を求めにきたという人物が現れる。
祖父は一年前に亡くなっていて真相はわからない。
強硬な姿勢をとる相手に、揉め事を避けようと
家族は返却に応じる。
「友人から譲り受けた」と聞いていた祖母は
気落ちして体調を崩してしまう。

孫の靖美と輝行は大黒様を取り戻そうとする。
若い頃のことを語ろうとしなかった祖父。
古びた一枚の写真。
一緒に写っている人物・背景をてがかりに
祖父の過去を知ることで
大黒様につながる手だてを得ようとする。

おもしろかったです。
【弓投げの…】のあの人が出てくるところも嬉しい。

【Gカップ・フェイント】伯方雪日
これは…ミステリー?
でもなんだか楽しかった。
鳴海凪のキャラクターが魅力的だったからかな。
マッチョな殿方が200人も集まったら壮観だわね。

以下、未読の方はご注意を。
たいしたことは書いてませんけれど。

 

 

*
*
*
【弓投げの崖を見てはいけない】

膝に置いた棺越(ひっこし)デパートの紙袋が膝から落ちる。
それに手をのばし、また膝の上にのせる。
…なぜ助手席に置かないの?
小さなひっかかりには意味がありました。

弓が居間に置いてある。
「ずっと寝室の隅に寝かせておいたんですけど
もし踏んだりしたら危ないからと思って、あそこに」
…ずっと寝室に置いてあって危険ではなかったのに
なんらかの状況が変わった?
隈島もなんの疑問も持たずに自然な流れで聞いてるし。
どこかおかしい。
そう思って読んでいたら、そういうことでしたか。
さりげなく描写される伏線がうまいです。
女性の声で読み上げられる時計の使い方とか。

ラストで車にぶつかった人物が誰なのか
「わたし、気になります」
(千反田える嬢の真似してみた^^;)

執筆者コメントにはこう書かれています。
「ラストシーンについて。
あの人影は三人のうち誰だったのか?
本文をよぉく読んで地図を見てみると、
答えは一つに絞られてくるようです。
ヒントは「囃子台の進行方向」、
「弓子の部屋の位置」と
「アパートの外階段の位置」。
おわかりでしょうか?」

わかんない。
日暮れにライトを点けていない車が
スピードをあげて近づいてきたとしても
正面にいたら気づくと思う。
だから隈島ではないという気がするけれど
位置的に該当するのは隈島。

狂乱状態にいる森野雅也が飛び出す可能性が
高いけれど、ヒントに「外階段の位置」と
わざわざ書いてあるから彼ではないのでしょうね。

隈島は「大黒天」に出てくるので
ぶつかったけれど命は助かったということなのかな?

う~ん、すっきりしない…

すっきりしないからずっと考えていて
結局一番印象に残ったのはこの作品なのでした。

『蝦蟇倉市事件2 』を続けて読みたいのですが
米澤穂信の作品が「さよなら妖精」の続編らしいので
まずはそちらから読まなくてはいけませんね。

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蝦蟇倉市事件1 (ミステリ・フロンティア)

蝦蟇倉市事件1 (ミステリ・フロンティア)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/01/27
  • メディア: 単行本



 


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