『退出ゲーム』 初野 晴 [読書]
楽しく読みました。
表題作「退出ゲーム」がおもしろかった。
巧妙に隠されたゴールはとても優しい。
書き下ろし「エレファンツ・ブレス」
たどり着いた真実は想像を絶するものでした。
軽々しく扱ってはいけないもの。
「呪われた鉄鎖」を砕くことはできたのでしょうか。
論理的に解き明かされる謎。
ただし“知識”がカギになることが多く
ふと感じた引っかかりを正しく解釈するという
“洞察力”を試される場面が少なく
そこはちょっと物足りない。
穂村チカ、高校一年生、
廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。
上条ハルタ、チカの幼なじみで同じく吹奏楽部のホルン奏者、
完璧な外見と明晰な頭脳の持ち主。
音楽教師・草壁信二郎先生の指導のもと、
廃部の危機を回避すべく日々練習に励むチカとハルタだったが、
変わり者の先輩や同級生のせいで、
校内の難事件に次々と遭遇するはめに―。
「わたしはこんな三角関係をぜったいに認めない。」
わたし=チカ
では、あとのふたりは誰?
読んでいくうちにわかります。
チカが認めたくない理由も。
草壁先生は影の主役ですね。
ふうわりと大きく見守りそっと手を差しのべる。
こういう先生がそばにいるハルタとチカは幸福です。
先生の過去は謎めいています。
大きなコンクールの指揮部門で受賞歴があり
国際的な指揮者として将来を嘱望されていた。
それがなぜ高校教師として音楽を教えているのか。
続編で少しづつ明らかになるのかな。
左手にある深い傷跡も気になります。
クロスキューブの謎の解き方を
真っ先に気づいたのは先生でした。
「だがもし、立ちどまった場所から
一歩を踏み出すきっかけをだれかがつくってくれるなら、
それは大人になってしまった僕じゃなくて、
同世代で同じ目の高さのきみたちの
役目であってほしいんだ」
すてきな大人です。
こういう若い人に向けた作品で
「枯れ葉剤」を出してきて戦争の無惨さを伝える
作者もすてきな大人だと思います。
「エレファンツ・ブレス」には胸を打たれました。
怪しい発明家、萩本兄弟
チビの左門豊作のふたりがおかしい。
演劇部の看板女優、藤間弥生子・マヤ(笑)
「半年前に保護されたばかりのオオカミ少女」
になりきっている(部長命令)
笑っちゃった。
(ガラスの仮面でマヤもなりきってたよね)
登場人物がみんな個性的です。
galapagosさん、nice!ありがとうございます。
by miyuco (2010-09-19 17:10)
こんばんは!
miyucoさん読まれたんですねっ、記事楽しみにしてました♪
表題作の「退出ゲーム」、私もとても好き。
他の作品も、青春だけでは終わらせない苦味というか毒要素というか裏が…ありましたよね。(うまく言い表せないんですが;)
草壁先生は謎ですよね。つねに一歩引いていて全体を見渡しているような、存在感がある方です。二人の恋の対象でもありますしねw
彼のお話はシリーズ最後あたりに、あるようですよ~。
私は本シリーズの新作を、まだ手にしてないのですが、まずは「退出ゲーム」ついで「初恋ソムリエ」を再読したくなってきました♫
※別件ですが、私もBECK観ましたよ~。
あまり気にしてなかった作品だっただけに、予想外にのめりこんでしまいました^^; 佐藤健くんは二宮くんみたいにしばらく高校生役やってけそうな気がしますね…!
by ミナモ (2010-09-19 18:15)
ミナモちゃん、こんにちは。
米澤穂信の古典部シリーズが
よく引き合いに出されますが
その理由がよくわかりました。
「初恋ソムリエ」も読みたいです^^
おもしろい本を教えてくれてありがとう!
私のアンテナだけではキャッチできなかったと思う。
「BECK」よかったですよね~♪
by miyuco (2010-09-21 16:55)