SSブログ

『マリアビートル』 伊坂幸太郎 [読書]

中学生の邪悪な王子が気持ち悪くて
最初のほうは読むのがつらかった。
本当にむかつくんですけど…
しかし、それではヤツの術中にはまる大人たちと
同じになってしまうと何とか気持ちを落ち着かせ
伊坂さんだもの、きっと最後にはどうにかしてくれる
そう信じて読み続けました。

rain-106.gif

元殺し屋の「木村」は、
幼い息子に重傷を負わせた相手に復讐するため、
東京発盛岡行きの東北新幹線“はやて”に乗り込む。
狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」&「檸檬」。
ツキのない殺し屋「七尾」。
彼らもそれぞれの思惑のもとに同じ新幹線に乗り込み―
物騒な奴らが再びやって来た。
『グラスホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。
3年ぶりの書き下ろし長編。

rain-106.gif

最後まで読むと…
だいじょうぶでした。
カタルシスはやってきました。

ツイてない七尾がお気に入り。
何をやってもアクシデントが起こり
スムーズに物事がすすんだためしがない
自他共に認める不運な男。

自分は幸運だと信じきっている人間もでてきます。
滑稽です。
たまたま思い通りになっただけで
普通に考えればろくでもない考えなのに
なまじっか幸運に手助けされたために
破滅の方向にすすんでいることに気づくのが遅くなる。
気づいたときにはもう手の打ちようがない。
結果的に幸運とはほど遠い状況に立たされる。

七尾くんは逆をいきました。
スムーズに任務を完了させたら
結果は悲惨なことになっていたのかもしれない。
しかし彼は決して自分がついているなんて
思ったりしないでしょうね。だから「くさくない」
そこが好きです。

「グラスホッパー」と同じように
個性的な殺し屋たちが魅力的でした。
七尾が蜜柑と檸檬から逃げようとする
スリリングな展開がとてもよかった。
おもしろかったです!

以下、未読の方はご注意を

 

 

「他人の人生をぎゅっと潰し、
そこから搾り出した果汁を、飲み干す。
これほど美味しいものはない。」p343

「いじわるなディーゼル」は老夫婦に電話して
勝ち誇った気持ちになっていたけれど
残念ながらそれは破滅への一歩でした。
「くさい」本性を見抜かれてしまったわけで。
(読者がそれを知るのもずっと後でした。
こういうところ、相変わらず上手いなあと思いました)

「昔から存在しているものは、
それだけで優秀だ、ってことらしいですよ。
ストーンズにしろ、木村さんにしろ、ね。
生き延びているんですから、勝者です」

ラストの「果物」も洒落ています。

しっかし、あの老夫婦のかっこよさは
今年一番のインパクトでした。
しびれました!

「生きてるみたいに生きてみようと思ったんですよ」
それでもまたお会いできてよかった。鈴木さん。

槿(あさがお)は特別出演なのに
攫っていった感じですね。ずるいぞ^^

 

マリアビートル

マリアビートル

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/09/23
  • メディア: 単行本

タグ:伊坂幸太郎
nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 1

miyuco

ミナモちゃん、nice!ありがとうございます♪
by miyuco (2010-12-14 21:26) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0