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『隻眼の少女』 麻耶雄嵩 [読書]

麻耶雄嵩の本格ミステリに興味がありました。
「このミス」4位の『隻眼の少女』
わくわくするストーリー展開を期待して読んだのですが…
脱力感が残る期待はずれの結末にがっかり。
出だしは快調だったのに。

水干(すいかん)姿の隻眼の少女探偵
御陵(みささぎ)みかげ


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舞台は山奥のひなびた寒村
旧家におわしますのは「スガル様」
無惨に殺害された少女はスガル様の後継者

横溝正史的な舞台設定
探偵は美少女
小生意気な物言いがツンデレ風味で魅力的
掴みはオッケー
出だしは快調
それなのに…
いつのまにか失速

大がかりな連続殺人につきもののリスクが
都合良く回避されすぎている。
殺害し首を切断するという大仕事を
何回もやってのけるのは難しいはずなのに。

目的のためなら手段を選ばない犯人には
嫌悪感しか残らない。
殺しすぎだってば。

「このミス」4位「文春ミステリーベスト10」4位
「本格ミステリ・ベスト10」1位

う~ん、選評を読んでみたいです。

以下、未読の方はご注意を

 

*
*
*

・大量に浴びたであろう返り血を
始末するのはたいへんだったはず。
たいていその辺りでミスが発覚するのだけど
この作品では見事にスルー。そんなもん?
・あの奇妙な衣装もトリックのひとつだったとは
・少女の淡い恋心も利用する唾棄すべき殺人者
・巻き添えが多すぎるでしょう
・血まみれで気持ち悪い
・後味悪すぎ。

15年間憎み続けてきた人物を亡き者にし
自らの探偵デビューを華々しく演出
「種」を仕込んで娘をさずかり
娘の父となる人物(邪魔だと思っている)は勝手に死んでしまう
みかげにとっては完全勝利だったわけですね。
18年後、静馬が生きていたのは誤算だったが
今度は娘の探偵デビューを仕掛け
それも成功させ、自分は見事に幕を引く。
静馬を殺害できなかったのが唯一のとりこぼし
…なのかな?それとも計画通り?

最後の真相を語る場面で気になったこと

「その頃の私は静馬に夢中だったから気づかなかったけど。」
…種馬としか思ってなかったんじゃないの?
違和感が残ります。
「名前も略すとちょうど種馬だったし。」
【種田静馬】作者はなんて意地が悪いんでしょう。

父親として守ってやらなければならない。
不幸にさせてはいけない。
それに…今度こそ逃がさない。

「今度こそ逃がさない。」

ううっ、この一言、なんかゾッとするんですけど…
考えすぎ?
悲劇は繰り返されるかも…
Σ(T□T)

叙述トリックは好みではないので
なおさらこの作品を評価できないのかな。
(語り手の静馬があまりにもボンクラで観察眼がないため
結果として叙述トリックのようになってるだけとも言える?)


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