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映画 『マイ・バック・ページ』 [日本映画]

「時代の熱気に抗えない」系(?)
の映画を若い頃よく見たような気がする。
ちょっと苦手だった。
作り手側ものまれていて肯定的すぎる。
確かに時代の熱は伝わってきたけれど。

70年代が舞台の「マイバックページ」はどうだろう
どの程度までセンチメンタルなのか
「妻夫木聡」と「松山ケンイチ」はどう演じたのか
気になったので映画館へ。

あの時代への距離感に好感を持ちました。
結果を知っている者が断罪するという目線はなく
親密でありながら醒めているという距離の取り方。
1961年生まれの私は学生運動の残り火というか
残滓というか、そういう空気を覚えています。
監督は同年代の方なのかなと思ったら
とんでもない!
1976年生まれの34歳、お若い方でした。

「評論家・川本三郎原作のドキュメンタリー
「マイ・バック・ページ 60年代の物語」を映画化。
71年の自衛官殺害事件を軸に、
時代を変えようと葛藤(かっとう)する青年の姿を描く」

「爪痕を残したい」とあがく若者ふたり
若手ジャーナリスト・沢田と、学生運動家・梅山
立場の違うふたりが出会い、「本物になる」ことを目指す。

「連帯を求めて孤立を恐れず、
力及ばずして倒れることを辞さないが、
力尽くさずして挫けることを拒否する」
学生が壁に書き残した有名な落書き
目を輝かせてそれを見つめる梅山(松山ケンイチ)

一方の沢田(妻夫木聡)は東大卒の出版社勤務。
安田講堂陥落は卒業後のことだった。
一番大きな山場に参加できなかったという忸怩たる思いが
二人を結びつけたのかもしれない。

「二人ともタイミングをはずした人たちなんです。
沢田は早すぎて加われなかった大人だし、
梅山は遅すぎた青年。
たぶんそんな二人だったからこそ、
当時を知らない僕らでも入り込むすき間を
見つけられた気がするんです。」(脚本・向井康介)
「脚本を書いている時は、本物に限りなく近づいたけど
本物になれなかった二人なんだという
話をしていました、向井と。
たぶんそこに一番共感できたんだと思います」(山下監督)
                ― 公式ページより引用


梅山は最初から浅薄な人間だと暴かれている。
沢田のことはマスコミを利用する手段としか考えていない。
かたや沢田は梅山を情報源と考えていると同時に
シンパシーを感じていて二人の感情には温度差があり
それが事の顛末を引き起こす。

松山ケンイチはどこか人懐こくて憎めない人物を
素の持ち味を十分生かして演じています。
カリスマ性と狂気、小狡さ、幼稚性、目が離せません。
しかし梅山は妻夫木聡でも演じられたかもしれない。
それに反して沢田を演じるのは妻夫木聡しか考えられない。
ラストシーンでそれは決定的になります。

二人に共感することは私には難しい。
共感できたのは二箇所。
モデルの少女を演じた忽那汐里のまっすぐな瞳。
(きれいでした)
そして、世の中を変えようと
理想を追い求めていたはずだったのに
実は地に足をつけて生きている人たちを見向きもしなかった
過去の己の姿を突きつけられ慟哭するラストシーン。

理念に酔うことなく生きている人の顔をきちんと見る。
自然災害による大きな被害、原発事故、
いろいろな意味で潮目に立ち会っている私たちも
肝に銘じておかなければいけないことだと思う。
誰かの自己実現の道具として踊らされることのないように。

真心ブラザーズと奥田民生の「My Back Pages」
とてもよかった!

今風ではない役者さんの面構えが魅力的だった。
東大全共闘議長を演じる長塚圭史が印象的です。
週刊東都の足の悪い先輩・古舘寛治
同じく先輩記者・中野英雄
あの時代にふさわしい顔がとてもよかった。

梅山の供述のみで京大全共闘議長・前橋に
逮捕状が出る。(映画によれば)
結果として権力側にいいように利用されたわけだ。
こういうのもあの時代にはよくあることだったのかもしれない。

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*
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この後に起きた連合赤軍による浅間山荘事件
仲間同士の凄惨な山岳ベースリンチ事件、
そして1980年代まで後を引いた中核派vs革マル派の
内ゲバの数々を知っていれば梅山に共感できるわけがない。
長期に渡る内ゲバは死者多数にのぼる殺しあい
巻き添えになった一般人も多く、新聞記事を読むたび
怒りでいっぱいになったものでした。

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