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『僕らのご飯は明日で待ってる』 瀬尾まいこ [読書]

体育祭の競技「米袋ジャンプ」がきっかけで
話をするようになった葉山亮太と上村小春。
つきあうようになっていろいろあってというお話。
噛み合ってないようで
実は噛み合っているようなふたりの会話に
ちょくちょく笑ってしまいました。

つらい「別れ」をどうしても消化できなくて
たそがれつづけた三年間。
ぼんやりしていたら体育委員の上村さんに
「米袋ジャンプ」になったけどと言われた
高校三年の体育祭。
米袋にはペアが入ることになっている。
葉山くんは暗いからペアになるをみんなが嫌がり
上村さんと組むことになる。

上村は葉山のことをよく知ってる。
(中学の時から好きだったから)
しかし葉山はそれに気づかない。
(好きな人じゃなければ一緒に米袋には入らないってば)
告白を唐突だと感じてあわててしまい、
何で?と聞くと、きちんとしてるからと上村は言う。

「たそがれるのも、米袋で跳ぶのも、
葉山君は何でもちゃんとしてる。
だから好きなんだ。
で、付き合ってくれるの?」

あっけにとられて明確に答えなかったために
告白されて断ったことになってしまった。
気まずさが残ってもふたりの関係はここで終わらない。
そうして葉山の中で「ことんと何かが動く」

「おばあちゃんの言葉は日本国憲法より重い」
という理由で、いったんは別れたふたり。
でも、「太陽みたいな人」と付き合うのは
葉山には荷が重かったから
きっと上村にも無理でしょうね。

あっさりしていてわりと淡白な女の子。
(でも、本当は感受性が鈍いわけではない)
そんな女の子に振り回される男の子。
川原泉さんの作品を読んでいるみたいだった。

それにしても、どうしてふたりは
突然の不幸にあわなくてはならないの?
こういうことは現実ではよくあることかもしれない。
しかしこの作品では、物語をドラマチックにするためだけに
仕掛けられたような気がしてならない。
「幸福に暮らしました」ではいけなかったのかな。

川原さんの「カレーの王子さま」や
「笑う大天使(ミカエル)」みたいに終わらせることだって、
作者にはできたのだと思うのだけど。
(・・・感想ではなく個人的意見になってる・・・)

上村には絵に描いたような幸せな家庭で
もっともっと幸福になってほしかったな。

イエスと暮らす小春が幸福であるのは
間違いないけれど。

「いつも泣くタイミングが悪い」ふたりが
とても愛おしいです。

僕らのご飯は明日で待ってる

僕らのご飯は明日で待ってる

  • 作者: 瀬尾まいこ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/04/25
  • メディア: 単行本



タグ:瀬尾まいこ
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コメント 2

藍色

さわやかでピュアな作品でした。
読んでて長い年月の付き合いになる主人公達が羨ましかったです。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
by 藍色 (2013-08-30 15:48) 

miyuco

藍色さん、いつもありがとうございます。
by miyuco (2013-08-31 21:16) 

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