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『星間商事株式会社社史編纂室』 三浦しをん [読書]

おもしろかった。
何度も笑い転げました。

「BL」ってどんなもんだろうと思っている方は
読んでみるといいかもしれない。
主人公が書いているBL小説が出てきます。
三浦さんが書くのだから当然のことながらとてもうまい。
逆に言うと「BL」が苦手な方には
この本はお勧めできないかな。

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川田幸代。29歳。会社員。腐女子。
社の秘められた過去に挑む―。本間課長は言った。
「社史編纂室でも、同人誌を作ろう!」その真意はいかに?
風雲急を告げる社史編纂室。
恋の行方と友情の行方は、五里霧中。
さらには、コミケで人気の幸代の小説も、
混乱に混乱を!?これでいいのか?わたしの人生。

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やる気のない先輩・矢田信平は
「舟を編む」の西岡くんにちょっと似てますね。
いいヤツだ。

つきあって五年になる洋平は
金がたまるとふらりと旅に出て音信不通になる。
期間は一週間だったり一年だったり。
それでも必ず幸代の部屋に戻ってくる。
幸代の趣味を知ってはいるが
首をつっこんではこない。

「たとえば俺は、一人で山へ行く。
さびしいけど、楽しい。それがいいんだ。
なにかを好きだと思ったり、
なにかをせずにはいられないと思ったりするのって、
ひとの心の一番大事な部分だろ」

さびしくて楽しい、ひとの心の大切な場所には、
求められぬかぎり触れずにおく。
べつの部分で、いくらでも通じあうことはできるのだから。

三浦しをんさんのこういう文章が大好きです。

[社史編纂室]
さまざまな事情で飛ばされてくる人たちの吹き溜まり。
あと一年で定年を迎える本間課長が実質の責任者。
ゆるゆるの職場なのをいいことに
同人誌即売会に書いた小説をコピーしていたところを
本間課長に見つかってしまう。

「きみ、腐女子というやつだな」
コピーを一部持ち帰った課長は
インターネットで調べたと言う。
「社史編纂室でも、同人誌を作ろう!」

「コピー機のメンテナンスに来る、
リース会社の若いさわやかな男が
器械が苦手な冴えない中年男と
めくるめく恋に落ちちゃう話」

「海賊に助けられたひとりぼっちの少女。
大海原を駆けめぐる海賊との純愛」

河合サチ名義で書く小説と
社史編纂室で出す同人誌の小説
両方を書かなくてはならなくて大混乱の末
設定が混じった話をうっかり書いてしまったところで
爆笑してしまいましたわ。
「海賊め、野宮さんを返せ!」

落ち込みながら独り言をつぶやき、
「おっ、これはけっこう、いいフレーズかもしれない」
と松永と野宮の物語にとりこむあたり、
物書きのサガを感じますわ。

読み終わると本間課長への見方がちょっと変わります。

BLだと「女」というあれやこれやが取っ払われるから
違った形でセリフが書けるのね。
理路整然としたやりとりから切なさがにじみ出るような。
三浦しをんがエッセイなどで言っていることの意味が
やっとわかった気がする。

星間商事株式会社社史編纂室

星間商事株式会社社史編纂室

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/07/11
  • メディア: 単行本


タグ:三浦しをん
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miyuco

ミナモちゃん、こちらにもnice!ありがとうございます♪
by miyuco (2012-09-05 14:30) 

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