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『旅猫リポート』 有川浩 [読書]

感情がほとばしるままに書くというテイストが
有川浩の魅力のひとつかもしれないけれど
今回はそれが抑えられているように感じます。
静かな余韻が残る、心に沁みる物語でした。
読んでよかったなと思える本です。

賢い猫と青年が銀色のワゴンで旅するロードノベル。

 「突然で申し訳ないけど、僕の猫をもらってくれませんか?」
とてもかわいがっている猫だったが、
よんどころない事情があって飼えなくなり
サトルはもらい手を探している。
銀色のワゴンに乗り、猫とサトルの旅がはじまる。

「さあ、行こう。
サトルのルームメイトとして申し分ない猫だった僕は、
サトルの旅の道連れとしても申し分ない猫であるはずだ。」

猫の名前は「ナナ」
しっぽを上から見ると数字の「7」に見えるから。

猫を手放さなければならないほどの
「よんどころない事情」ってなんだろう。
サトルは本当に猫が好きなのかな?
などと思いながら読み進める。
最初に訪ねたのは小学校時代の友人。
そこで当時のサトルが回想される。

次に訪れたのは中学校時代の友人。
サトルがいかに猫を大事にしていたかがわかる。
それではなぜナナを手放すの?

高校時代の友人を訪ねる。
徐々にサトルの「よんどころない事情」がわかってくる。

そして銀色のワゴンは旅を終える。
ナナのおかげで旅に出て
ナナのおかげで大切な友人たちに再会できた。
本当に賢い猫です。いい仕事しました。
サトルと一緒に楽しく過ごせてよかったね。

サトルのモノローグは一切ない。
しかしきっと「ナナ」だけに見せたつらい顔が
あったのだとわかります。
もっともっと幸せでいてほしかった。

叔母のノリコの不器用な物言い。
有川さんはこういう描写がうまいですね。
愛すべき人物です。

「でも俺は死んだ両親に
一回もめんどくさがられなかったよ」

後になってこの言葉にグッときました。
せつないです。

年末で出かけなくてはいけない用事があるのに
夜中に読んでいて泣かされたために
翌朝ひどい顔になってしまって参りました。
なんてかっこいい猫なんだよ、ナナは。

児玉清さんとコロボックルが特別出演でしたね。

旅猫リポート

旅猫リポート

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/11/15
  • メディア: 単行本



タグ:有川浩
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のりたま

これ、本当に良かったです!

by のりたま (2013-02-08 12:43) 

miyuco

>のりたまさん
私もこの本大好きです^^
nice!とTB、そしてコメントありがとうございます!
by miyuco (2013-03-09 13:38) 

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