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『グーグーだって猫である(3)』 [大島弓子]

グーグーだって猫である (3)  

 大島弓子さんがお元気でいらっしゃるならそれだけで私は嬉しいです。


グーグー二巻でホームレスの男性から譲り受けた子猫
「タマ」はどんどん回復していきます。 
隔離部屋(仕事用のマンション)から解放され
グーグーたちのいるマンションへとやってくる。
そんな猫たちとの暮らしを綴ったエッセイマンガ。
こんもり葉っぱが繁った大きな木と空と鳥。
こもれび。
(大島さんの作品の印象的なシーンで何回も描かれていた)
またお目にかかれてうれしいです。

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『ヨハネがすき』 [大島弓子]

60ページの物語。1976年の作品。
ここから、大好きなセリフを抜き書きしていくと、
すごいことになってしまいます。

麗しいヨハネ。
弟の母親代わりになるときの女装姿も美しいです。
幼い弟たちもとてもかわいらしい。

先日、高三の長男が
「お母さん、泣いた赤鬼 ってなに?」と聞いてきた。
「涼宮ハルヒの憂鬱」を読んでいたら
「私だったら、赤鬼を恐がったりしないで、
最初から遊びにいくのに」
というようなセリフがあったらしいです。

「ドコマデモ キミノトモダチ アオオニ」
いつ読んでも泣けてしまうこの童話を思い出し
そして、「むく鳥の夢」が出てくる
「ヨハネがすき」を連想したわけです。

『ヨハネがすき』を書こうと思っていたのに、
なぜか『バナナブレッドのプディング』を
先に書いてしまいました。

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『バナナブレッドのプディング』 [大島弓子]

「きょうは あしたの 前日だから…
だから こわくてしかたないんですわ」

きまっていることだ
きまっていることだ
衣良のすることなすこと
ことごとく
母は泣く
父はためいきをつく

“うしろめたさを感じている男色家の男性”を理想とする衣良。
自分を必要とする人のカーテンになってあげたいと言います。
幼なじみのさえ子は、衣良を案じ、兄、御茶屋峠を男色家だという設定にしてしまう。
「これは人だすけです 
ひとりの少女が 涯(みぎわ)におちないように ささえるのです」

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乱切りにんじん 大島弓子 [大島弓子]

「メゾン・ド・ヒミコ」つながりで、
「つるばらつるばら」を読み返していたら、
案の定他の作品にまで手を出してしまうことに。

「乱切りにんじん」を読んで、
大島弓子ってうまい人だなあと思った次第です。
あんまり「うまい」なんて思わない。
気持ちが動くのが先で、分析のような方向にはいかないから。

突然、母親が死んでしまい、
父親とふたりで暮らすようになった小萩さん。
そこで父親が宇宙人だということに気がつきます。

「なあんにもできないのよ、人間がやること」

父親は家事一切ができない人だった。
自分の身の回りの事さえロクにしないのに
学費を盾に家事を強要する父への反発。
父から将来を問われ、
「心底望む方向って 学校卒業したらこの家を出ることだな そして…」
好きな人が、もし私を好きになってくれたら、
卒業したら結婚したいと答える小萩。

父親の前でだけ私の彼になるお芝居をしてほしい
という頼みを御行静二が引き受ける。
翌日、お礼にと英語の単語を調べたノートを御行くんに渡す小萩。
渡された彼のアップのひとコマ。
これだけで彼が傷ついたことがわかる。

「その瞬間 夢からさめるからね」

御行くんを家に連れてきたのにも関わらず
八束くんも好きだという娘を怒鳴りつけ、
勘当を言い渡して、自分が(小萩ではなく)出ていく父親。

その後、小萩は亡き母の兄から、思いがけない話を聞く。
母は娘時代に好きな人がいたが病死してしまった。

「結婚してからも実家(ここ)に帰ってくると
若い頃のはなしばかりしてた 
まるで夫も娘もいないみたいにね」 

母の心の中には夫も娘もいなかった。
父もそれに気がついていた。
「御行くんに自分の分身をみたのかも」

「お母さんの心の中では夫も娘もなかったというけど 
あたしはお父さんもお母さんもすきだった」

登山から帰った父が言う
「小萩 だれをどのように愛そうと おまえの自由だ」

母が残した料理ノート。
「あのノートは御行くんに対する
英語ノートのようなものだったのではないでしょうか」
このセリフだけで、母の父に対する気持ちが伝わってきます。

苦いばかりではなかった母の気持ち。
父が望んだものとは違うかもしれないけれど
母は父に親愛なる想いを抱いていた。
それが小萩の行為とオーバーラップして
こちらに伝わってきます。
すごいなあ。

50ページの作品。
小萩と父との関係が変わっていく様子が描かれます。

「わたしは自分の気持ちに帰化したい」
「帰化して またお父さんの宇宙人ぶりと対決してゆきたいんだ」

「ジョゼ」や「ヒミコ」の映画評を読んでいると
「行間を読む映画」という表現がでてきます。
ちょっと違和感。
行間を読まないですむものなんてあるのかなあ。
どんなものでも。

犬童一心監督が大島弓子ファンということであれば、
彼にとっても「行間を読む」のは至極当たり前のことだと思います。


 


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Liberte (リベルテ/自由 ) ローズティーセレモニー [大島弓子]

Liberte (リベルテ/自由 )ポール・エリュアール

大島弓子さんの作品を読み続けていた人にとっては、
印象に残っている詩だと思います。
「ローズティーセレモニー」を読んで、この詩に感動しました。
詩とカットバックで展開するラストシーンまでの素晴らしいこと。
1976年月刊ミミ4月号掲載の作品ですから、
私は高校に入学した頃でした。
15歳の高校生がエリュアールに出会えるわけがなく、
この時点でこの詩を読むことができたのは、
大島弓子さんの作品のおかげです。

中学二年生の国語の教科書に載っているようですね。
そこにある解説です

イメージと意味の詩です。
延々と続く四行の繰り返しによって詩人は、
「きみの名前」によって
自分の外の世界・内の世界の全体を包み込もうとしています。
「きみ」とは自由です。
自由という言葉によって詩人は世界を再生すると宣言します。
ナチ占領下のフランスで飛行機からばらまかれたこの詩は、
フランス国民に生きて闘う勇気を与えました。

子供の頃からこの詩の書かれた時点までの
詩人の歩みが綴られているという解説もあります

 この詩が巻頭を飾った詩集『詩と真実』は
1942年4月3日ナチス・ドイツの占領下で出版されました。
「ぼくは書く おまえの名を」「J'écris ton nom」
というリフレイン。
おまえとは何なのか、最後に明かされます。
高らかに誇らしげに、Liberte と。

とても長い詩です。
どうしてもここに載せたいので・・・

リベルテ

ぼくの生徒の日のノートの上に
ぼくの学校机と樹木の上に
砂の上に 雪の上に
ぼくは書く おまえの名を   

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