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『JUNO/ジュノ』 [外国映画]

愛すべき作品です。
プロローグだけ見た時点では、
なにこれどうなっちゃうのと思わせるけれど
アカデミー会員がヤワな作品に脚本賞を獲らせるわけがないです。
ジュノが「妊娠・出産」を通して様々な問題にぶつかっていく。
一見するとモラリストが眉をひそめるようなジュノだけれど
思いもよらない状況にゆれ動く普通の感性を持った女の子。
何が大切で価値あるものは何なのか、だんだんとわかってくる。

エレン・ペイジが魅力的だった!

1977年のパンクロックとホラーが好きな16歳のジュノは
バンド仲間のポーリー・ブリーカーと
興味本位でしたたった一回のセックスで妊娠。
一度は中絶しようとするが「赤ちゃんにはもう爪が生えている」と
中絶反対運動中の同級生に言われ、産む決心をする。
フリーペーパーで子供を欲しがっている理想的な若夫婦を見つけ、
里子に出す契約を交わす。

と、ここらへんまでがプロローグ。
「しぼり出したら配達する」
お腹の子を養子に出すことをこんな風に表現するジュノには
ちょっと引きます^^;
映画で“苦言”を呈する超音波検査士の女性のように。
でもそこで娘を侮辱するのは許さないとビシッと言う
毅然とした継母さんの態度は正しい。

ジュノの選択を父親と義母は全面的にサポートする。
「電子レンジに近づけない」ほど
家では食べ物に気をつかってくれている。
(だから学校ではジャンクフード山盛りなのね^^;)
娘の妊娠や相手の男について後ろ向きな発言はなく
娘の意思を尊重する。
ジュノは自分がいかに居心地にいい場所にいるのか
はっきりと自覚することになる。
(ブリーカーの母みたいなタイプが家族にいたら
きっとたいへんな事になったんだろうな)

里親の契約を結んだマークとヴァネッサの夫婦は完璧だった。
リッチできちんと暮らしていて妻は赤ちゃんを熱望していた。
けれども…
ジュノの存在がひとつのきっかけとなり
夫婦間の問題が表面化。
それをジュノはとても悲しむ。
理想の夫婦であり続けると思っていたのに。
自分の大人度数を超えた問題に混乱する。

ヴァネッサは自分の使命は“母親になること”だと言い切る。
ジュノのお腹におずおずと「baby」と話しかけ動いたと感動する。
若い女の子と接近して勘違いするマークではなく
ヴァネッサを選んだところからもジュノの健全さがよくわかります。
里親は“夫婦”ではなくなってしまったけれど
ヴァネッサへの信頼は変わらない。

ジュノのお相手ブリーカー。何だかよくわからない立場です。
「あいつにやれるとは思わなかった」
なんてジュノの父親は言うし、ヒゲは生えないらしいし、
鼻の下は長いし^^;でもさりげなくいいヤツ。
ずっと同じ態度でジュノに接します。

出産を終えて泣きじゃくるジュノ。
妊娠がわかった時点では想像もしなかった感情に
襲われているようです。つらいよね。
そんな彼女にブリーカーはそっと寄り添います。

「こんどは自分の子のためにここに来るんだ」
と父親はジュノに言います。温かい言葉だな。

妊娠から始まった恋を手に入れて物語は終わります。
普通っぽくなくて私らしいでしょうと。

ジュノの女友だちとの裏表ない関係も好きだったな。
好きな映画です。

 

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『ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛』 [外国映画]

原作ファンが映画を観た感想です。
映画だけの感想はうまく書けません。

戦闘シーンがバージョンアップ。
すでに原作とは別物と考えて観てました。
原作のカスピアン王子はまだ幼い印象だった。
映画では姿形は大人になっているけれど中身は原作のまま。
行動は頼りなげでどうにもちぐはぐに感じます。
大人ならもうすでに王位を継承しているはずだし
陰謀に少しは気づくべきで、あまりに無防備だと思ってしまう。
ベン・バーンズは美形だけど。

ペベンシー兄妹は彼に比べるとまだがんばってました。
でも、ナルニアの民を愚策で犬死にさせてはいけません。
そして子どもが戦うのを見せつけられると
私はどうしても違和感というか嫌悪感がぬぐえない。
胸が痛む。
武器をとらずに解決する道を先に考えるべきではないのか。

小学生の頃、原作の大ファンでした。
当たり前の話だけど本で読むのと映像で観るのとでは
あらすじは同じでもまったく違った印象になってしまう。
本だとフェアリーテールとして読めるのに
映画だと戦いの現実を見せつけられてどうにも引いてしまう。

降り注ぐ光と緑がきれいでした。

リーピチープ Reepicheep
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誇り高き騎士リーピチープ
姿を見せずに敵を倒す登場シーンがとてもよかった!
天敵ネコをしばりあげるのもかっこいいです。



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タグ:ナルニア
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『ファインディング・ニモ』 [外国映画]

TVで放送されていたのを観ました。
う~ん、こういう映画だったのか…
(いまさらだけど^^;)

ニモを可愛いとは思えなくて
題名も「ファイティング・ニモ」だと勘違いしていたくらいに
興味がなかったのでした。
(戦ってどうする…
それはあまりに違うだろう…)

賑やかで楽しい冒険物語としてよくできています。
おもしろい!
でも親が観るとちょっと胸がチクッとします。

「何も起きないようにしてあげる」
と父は子どもに約束したと言う。

おかしな約束ねとドリーは言います。
「子どもに何も起きないようにしたら子どもは何もできないわ」
「子どもだって楽しくない」

ドリーのこの言葉は正しい。
親が「心配」しすぎるのは子どもにとっては迷惑でしょう。
それは子どもを閉じこめる檻のようなものかもしれない。
でも親はどうしても心配してしまうし
過保護との境目がよくわからなくて悩むところです。

たったひとつ生き残った卵からかえった子ども
しかもハンディキャップ(右ヒレが小さい)がある
過保護になってしまうモーリンの気持ちもよくわかります。
(たとえハンディがなくても親は心配するけれど)

「自分ではできると思っても無理なんだよ」

しかしニモは賢いし勇気がある子どもです。
最後の危機も水槽で教わった知恵を生かして
ドリーを助け、みんなで脱出することができました。
この場面のモーリンは以前とは違う。
子どもを信じて応援します。
子どもと離れてすごした長い旅の間に
モーリンも変わってきたのですね。

何も起きないようにと先回りされたら
子どもは持って生まれた勇気や賢さを発揮できない。
何にもできないと思ってしまったら
自分に自信を持つこともできない。

「いっぱい冒険しておいで!」
エイ先生と出かけるニモにモーリンはこう言えるようになりました。
めでたしめでたし。

登場人物(?)が魅力的です。



続きです


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『プラダを着た悪魔』DVD [外国映画]

一流ファッション誌の編集部という舞台設定からして興味津々。
華やかな画面は観ているだけで楽しかったです!
ブランド名しかわからない私ですが^^;

主人公アンドレア(アン・ハサウェイ)はジャーナリスト志望
幸運にも女性の憧れであるファッション雑誌「ランナウェイ」
編集部でアシスタントとして働くこととなる。
しかしファッションには全く興味なし。
編集長ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)は
ファッション業界に絶大な影響力を持つ。
しかも横暴な態度で周りを振り回す最悪の上司であった。
奮闘するアンディ。 さてどうなることやら。

ファッショナブルな人種が出入りする編集部では
その普通すぎる服装が目立つけれど
それでもアン・ハサウェイは誰よりもかわいい^^
「コツコツ族」なんて言って
ピンヒールで流行の服装に身を包んだ女たちを
見下していたけれど、仕事場にファッション誌の編集部を
選んでそこでキャリアを積みたいのなら
頑なな態度は仕事に対して誠意を見せてないことになる。
助言してくれるナイジェルは正しい。
そしてアンディは美しく変身したのでした。

「興味ないのよ」で済まそうとしたら
「“Gabbana”のスペルは?」なんて聞き返して
相手にガチャンと電話を切られることが続くだけ。

「that's all.」この言葉で終わり。
問答無用で会話をうち切る上司ミランダは強敵です。
ささやくように次々と指令を出す。
声を荒げるでもないのにかえって迫力があって恐い。
アシスタントのことはいつも「エミリー」と呼ぶ。
名前を覚えようとはしない。人格無視だよね。
そんな「氷の女王」ミランダにも弱い部分がある。
仕事のために私生活を犠牲にせざるを得ないから。


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『マイ・ブルーベリー・ナイツ』 [外国映画]

有名監督の作品を映画館で観てみようシリーズ(笑)
今回はウォン・カーウァイ監督『MY BLUEBERRY NIGHTS』

かわいい映画でした。
ずっと昔読んでいた少女マンガにはこういうパターンがよくあったので
映画を観ていてなんだか懐かしいような気持ちになってしまった。
大好きだったあの世界が映画になって
再び目の前に現れたような気がした。
(こんなこと書くとウォン・カーウァイを少女マンガと一緒にするなと
気分を害する方がいるだろうけど^^;)

余白が多いと思った。
メンフィスの別れた夫婦、ラスベガスの父親と娘
カフェのオーナーと元恋人
鮮やかに切り取られているゆえにそれぞれが過ごした日々や
かわしたやりとりをいろいろと想像してしまう。
「鍵」の物語もたくさんあるのでしょうね。

主人公エリザベスは素朴でまだ幼い雰囲気。
ノラ・ジョーンズがこの役にぴったりとはまってます。
待っている男ジェレミーを演じるジュード・ロウは
ほんとうに素敵でした。

くちびるのまわりにクリームをつけたまま
カウンターで無邪気に眠ってしまったエリザベス。
クリームを拭ってあげようとしたジェレミーは
触れそうになったその手を止める。
もっとロマンチックな方法できれいにしたわけです^^
そんな場面を見せておきながら簡単にハッピーエンドには持っていかない。
エリザベスは旅立ってしまいます。生まれ変わりたかったから。
「遠回りすることを選んだ」
彼女が旅から帰ってきて再会したとき二人は
離れていた時間と距離が醸造した濃密なハッピーエンドを
手に入れることとなります。

恋人の心変わりで失恋したエリザベスは
彼の家の向かいにあるカフェに出入りするようになる。
毎晩ブルーベリーパイを残しておいてくれるオーナーのジェレミーと話すことで
自分を慰めようとするエリザベス。
二人の距離が縮まってきたように思えたある日、
エリザベスは突然ニューヨークから旅立つ。
そして半年後、ジェレミーの元に一枚の葉書が届く。
「あなたのブルーベリーパイは世界一おいしい」
ジェレミーはエリザベスを探しはじめるのだが… 公式HPより

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